ブックタイトル人道ジャーナル第3号

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概要

人道ジャーナル第3号

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3, 2014ランティア養成事業」として同市と協働する形で開始した。1年間を通し、高齢者の理解、認知症の理解、コミュニケーション技術、基本的な介護技術、自身の健康を守る技術など、合計8時間の講座を行った。参加者からは「専門的なことは、すぐには難しいけれど、簡単なお話し相手にはなれる」など前向きな意見も聞かれた。今後、市で支援を必要としている住民とのマッチングを行い、在宅でのお話し相手(傾聴)や、簡単な見守りサポート、介護施設などでのボランティア活動に発展していくことが期待されている。なお、本事業は、来年度も継続実施する予定である。2.自治体と大学が協働する意味と今後の展望当初より、刻々と変わりゆく現地のニーズが把握しきれないこと、遠方からの支援のためイベント的開催になってしまうという問題、活動をコーディネート頂く市役所の保健師の負担への危惧から、支援活動を続けるべきか、撤退するべきかを問い続けてきた。現地の人が主体であり、そこに大学としての教育的機能を活かすことができるような理想的な活動が展開できないかと話し合い、模索してきた。試行錯誤を繰り返しながら、復興とともに、介護の側面から、これからの地域の超高齢化を地域の力で支える「自助」「共助」が必要であることは明らかであり、今回の事業の実現に至ったといえる。また、われわれのように外部支援者だからこそできる役割、点と点をつなげていくこと、細く長く支援を続けていく重要さを、現地での活動を通し感じている。さらに、今回の災害のように甚大な被害の場合、被災地の行政職員も被災しており、中・長期的に関わり続けることがコミュニティエンパワメントを高める上でも重要であると思われる。震災からの復興、超高齢化社会への対応という二重の負担を抱える同市において、現地の人々と伴走する形で、協働できることを嬉しく思い、将来的には、新たなソーシャルキャピタルの創生に寄与できればと大きな夢を抱いている。謝辞本活動の実施・運営につきまして、多大なご協力を頂いております陸前高田市地域包括支援センターの皆様に、心より感謝申し上げます。人道研究ジャーナルVol. 3, 2014 107