ブックタイトル人道ジャーナル第3号

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概要

人道ジャーナル第3号

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3, 2014録に残っているようなことはございますか。風谷:残念ながら、われわれの記録の背景にあるような話ですから、こういうものはNHKには記録がないですね。こういう機会でないとやはりお聞きできないものですね。佐倉:ここまでお聞きして、いまの時代に始めようと思ったら、なかなかこれはハードルが高すぎて、よく立ち上げていただいたなというのが正直な感想です。も切れる。半年後に、今度はソマリアに行けと言ってもらったけれど、ソマリアでの1年が終わるとまた契約が切れた。そんな状況の中で、「第一回のNHK海外たすけあい」の財源を使ってネパールで事業をやることになり、東浦さんのほうから粉川君、行ってくれないか。この事業との関わりから、その後赤十字でずっと働くこととなり、私個人にとっても「NHK海外たすけあい」はキャリアの上で重要な意味をもっており、本当にNHKさまさまです。静かなる緊急事態に対処するプロジェクト~ネパ83年の6月にネパールへ行きました。事業の方はールの水と衛生「日さく」という日本の掘削会社を使って、日本から東浦:途上国の支援の話のついでに報告しておく機材を持ち込んで井戸を掘るというスキームがもうでと、日赤は配分団体ではないと申し上げておいたのだけれど、NHKさんが募金活動に乗り出すならば、分配を求めたいという団体があらわれて、少々困ったことがありました。ここでは顛末の詳細を語るのを控えますが、静かなる緊急事態というテーマの中で考えると、水と衛生をいの一番で考える必要がある。当事国であるネパールの赤十字社とも相談の結果、苦肉の策ですが、水と衛生のプロジェクトにパートナーとして一緒に組んでいただく案を出したのですが、断られた。粉川さんはネパールの水と衛生を最初からずっと関わったわけですけれども、ネパールのプロジェクトについてお話いただけませんか。きていまして、最初の1年は日さくの技術者たちと一緒にタライ地方というインドとの国境のところで井戸を掘ることに専念しました。「NHKたすけあい」が継続されることになり、この事業も2年、3年と続くとなると、やはり日本の企業を使って井戸を掘るというのはコスト的には非常に高くつきますし、UNICEFなどは手掘りといって、現地の人材を使って人力で井戸を掘る技術を使っており、また、ポンプもインドのマークⅡといういいポンプもあり、それが強くて安いしパーツも手に入れやすい、ということで事業を見直すことにしたのです。いろいろなことを学んでいく中で、UNICEFとも粉川:僕自身と赤十字との関わりから話させていた親しくなったのですが、UNICEFのカウンターパーだきます。79年、タイにおけるカンボジア難民事業が最初のミッションでしたが、カンボジア難民が突如としてタイ国境に現れて世界を驚かしたとき、全くどこのウマの骨なのかわからない僕が、日赤をノックして、何かボランティアをやらせてくれと言って、それでタイへ行く機会をもらいました。約2年タイで働いたのですけれど、その仕事が終われば、日赤との契約トであるネパール政府は井戸を何本掘ったかというハードに関心があるんですけれども、僕たちは井戸・水を入り口にして、そこから健康教育などを通して住民の健康を守っていく、そのために、ビレッジヘルスワーカーをトレーニングしたりとか、ソフトのほうにむしろ赴きを置いていたのです。その辺をUNICEFが非常にうらやましがって、事業を協力してやらないかとなったのは3年目ぐらいだと思います。ただ、UNICEFはやはり知名度が高いので、あんまり全面的に一緒にやってしまったら、軒を貸して母屋を取られるとなっては困るということで、事業を実施していたタライ地方の7県の中で、東の3つの県で協力しましょう。西のほうの4つは継続して赤十字だけでやりました。山のほうでは自然流下式というのをやりました。これは上部にある泉などの水源地から村まで数キロの距離をパイプを引っ張ってきて、村で蛇口をいくつかつけて、水道のような形で使えるようにするんです。118人道研究ジャーナルVol. 3, 2014