ブックタイトル人道ジャーナル第3号

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概要

人道ジャーナル第3号

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3, 2014粉川:ネパールには6年いましたが、その間に結婚し、娘も2人ネパールで生まれました。ネパールの事業は結局20年続いたんです。「第一回のNHK海外たすけあい」から始めて、20年、海外たすけあいの看板事業として、たすけあいの基礎をつくったような事業だったと思います。なぜ、このような長期事業となったかと言いますと、先ほど、ネパール赤十字の青少年が非常に強いという話がありましたが、青少年赤十字の先生方は、もう全国津々浦々にネットワークをもっています。その青少年赤十字の有能な先生方をプロジェクトスタッフとして迎え入れ、ボランティアを生かしたネパール赤十字事業として彼らの主体性を育てて行きました。これが成功のキーでして、実は、国際赤十字の中で活躍しているネパール人の数は、日赤よりずっと多いんですけれど、ほとんどはこの事業から出ているんですね。そういう意味において、ネパール赤十字の開発そのものにもなったし、非常に強固な事業の基礎ができたということです。余談ですが、日本の青少年赤十字の高校生たちがタライに来たとき雨期だったもんだから、車が入れないというんで、象を19頭用意して、象の背中に4人ずつ乗っけて事業地を視察させたり、それから、山間部では自然流下式の工事を、学校に泊まり込んで地元の生徒たちと一緒にやるのですが、トイレがない。そこでまずトイレをつくって、受け入れ準備をしたりと、そういうことを全部村人がボランティアでやってくれましたね。また、NHKの取材チームが撮影にこられたりして、現地でのコーディネーター役をしました。ネパールの他にもエチオピアとか、コソボのときに来た齋藤さんとか、その方々と現場で過ごした日々も、非常に懐かしい思い出として残っています。東浦:今、思い出したけれど、小林さんとポカラだったかな、湖の中にあるホテルがあったじゃないですか。小林:生まれて初めてあんな良いホテルに泊めてもらいました(笑)。東浦:そこで泊まったときに、支部の若い人たちが一緒だったんですね、確か。その人たちに小林さんがお説教をされたんですよ。小林:そんな失礼なことをしました?東浦:ええっ(笑)、そういうのをちょっと思い出しました。赤十字の支部の若い人たちが、せっかくここに来て、先輩たちと過ごしているのに、夜、先輩たちを捕まえて、そこでいろいろなことを吸収すべきなんじゃないか。NHKの職員だったらそういうことをやるんだぞと、どうして日赤の職員はそういうことをやらないんだということを言われた。(笑)。小林:失礼しました。東浦:いや、いや、失礼じゃなくて、そういう、何と言いますか、自分の組織でない人から言われるのは、非常にためになるんじゃないかなというような感じもしましたんで、そんなことをいま思い出しているんです。ちょっと余談でしたけれど、風谷さんはどこへ行かれたんですか。風谷:おそらくは小林が初代として、バングラデシュとネパールの後ですから、僕は2回目ですね、フィリピンへ行きましたね、東浦さんたちと。フィリピンはマニラに入って、それから、ルソン島だけ、ずっと車で北のほうに上がって。段々畑がありましたね。東浦:ああ、そう、そう。秋に来ると一面が稲穂で黄金色になるというイフガオでしたね。風谷:あのときも各支部の方々がたくさんいらっしゃったから、10人以上のdelegationになって。私のところは、カメラマンの名前は忘れましたけれど、2人で参加させていただきました。東浦:齋藤さんだったかな、あのときも。何回か行かれたという記憶があるんですけど。いま岡山にお住まいですね。粉川:僕ね、この間、彼に呼ばれて、会ってきましたよ。遊びに来いと言うんで、岡山へ行って、島根で釣りをしました。NHK退職後も齋藤さんからすごく可愛がってもらっています。小林:へえー。ああいうふうに行って、一番思ったのは、ネパールの山の中に行って、ジープで延々と行って、もう海外旅行だったら絶対企画できないような、ものすごい貴重な経験ですよね、つまり、ジープでずっと奥地へ行って、そうすると子どもたちが、レイをかけてくれて、お茶をごちそうしてくれて、だけど、一番感激するのは井戸に、「NHK海外たすけあい」って貼ってあるじゃないですか、あれを見たときにやっぱり、この仕事はちゃんとやらなければいけないなとしみじみ感じましたね。粉川:うん、ねえ。小林:ええ。だから、それはサイクロンでもそうですよね、宿泊したハティア島の多目的センターにも貼124人道研究ジャーナルVol. 3, 2014