ブックタイトル人道ジャーナル第3号

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概要

人道ジャーナル第3号

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3, 2014かという、すごい危機感を持っています。東浦:その辺はどうでしょうか。風谷:このキャンペーンはこれだけ長く続いているということですから、完全にわれわれの仕事の中に定着しており、これが全く意義がないとか、それから、もうすでに時代遅れだとか、そういう声は全くありません。ただ、やっぱり義援金というナマのお金を扱うことについてのリスク管理など、かつてと比べるといまは全く時代が変わってしまったんで、なかなかNHKの職員が現金を扱うことについての議論はありました。ただ、そこのところをしっかりとルールさえつくってしまえば、そこはクリアできる問題なので、この趣旨自体はNHKの中で今後やめるとか、そういうことにはまずならないと思います。募金額が増えていったほうがいいのかもしれないけれど、これは結果でありますから、われわれは決してずっと右肩上がりにとは考えていないです。金額もそうだけど、件数をしっかりと見ておかなければいけないなと思います。1円でも10円でも払ってくれる方が、件数が、多くなるということがやっぱり運動としての右肩上がりかなというふうに思います。粉川:おっしゃるとおりですね。風谷:件数も落ちてきて、金額も落ちてきてということになると、これは危機的状況と捉えなければいけないかもしれませんけれども。まあ、そうもなっていないので、昨年でも7億円という、これは小さいのかもしれないけれど、大きな金額なので、基本的には放送で呼びかけて、それでこれだけのお金を国民から出していただけるキャンペーンというのは、やっぱりNHKという公共企業体と日本赤十字社という公共企業体、要は信頼の置けるこの2社がしっかりとキャンペーンを打つということの成果だと思うので、今後も引き続き、長く長く続けていける事業だと私は考えています。粉川:今年は厳しいです。フィリピンの台風・高潮と、やっぱり「NHK海外たすけあい」は一緒にできないんですよ。そうするとフィリピンにはお金が来る。その同じ時期に「海外たすけあい」があるんで、今年は非常に難しい。風谷:僕はそういう循環的な要素は仕方がないと思います。災害というのはやっぱり人々の耳目を引いてしまうから。さっきおっしゃった紛争、災害、開発ということで言えば、災害というのは一番日本人のマインドに合うんじゃないですか。紛争というのはちょっと分かりにくいと思うんですね。開発というのは一層分かりにくいですから、災害で取られるというのは循環的な、その年その年でこれは仕方ないかなと思って、このキャンペーン自体は、それはそれとしてしっかり毎年やっていくべきだと考えます。佐倉:NHKの中では幾つかのキャンペーンを展開しているんですが、「たすけあい」は12月1日から25日の恒例事業として毎年放送もしっかりと根付いていまして、今年も、実際にはもう放送が始まっていますけれども、1日~25日に向けて、期間前から期間中に、だいたい50~60回の放送によるスポットを放送しています。ちょっと姑息かもしれませんが注目してもらうためにタレントが呼びかける形のスポットであったり、もう一つは事例報告ですね。実際にどういう形で使われたかを日赤さんにご協力いただいて、現地の様子を取材させていただいて、ご紹介する事例編というのと、著名人による呼びかけ編という二つをつくっているんです。それぞれ何パターンかずつ作って、合わせてだいたい50~60回ずつ。毎年極端な増減はなく放送しています。ここまでお聞きして私の感想としてですが、募金を呼びかけることに少し軸足がいってしまっているのかなという気がしていて。単純にお金を集めることがキャンペーンではなくて、必要性を訴えるのと、こうやって使われていますよという報告のほうがキャンペーンという意味の本質なのかなという気がしました。次世代に向けて必要性を伝えていくことをしていきたいですね。粉川:そのサイクルがないと絶対続かないですね。佐倉:ときどきこういう基本的なことを思い返さないと、ついつい目の前の件数や金額が減っているから、呼びかけるほうで著名人をいっぱい使ってアピールすればいいんじゃないかというふうに結び付けがちですけれども、そうじゃなくて、やっぱり必要性とか、こうやってちゃんと使われているというところに、ときどき戻さないといけないんだなと、今日先輩方のお話を聞いて感じたところですね。東浦:有難うございます。NHKさんだけに広報の面で頼り切るのではなくて、日赤のほうも。池本:中身をね。東浦:中身をちゃんと。粉川:僕たちは事業そのものをまず見直す。今年は5カ年戦略計画の5年目ですので、それをしっかり議132人道研究ジャーナルVol. 3, 2014