ブックタイトル人道ジャーナル第3号

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概要

人道ジャーナル第3号

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3, 2014国際人道法のABCスイス連邦外務省編仲宗根卓1 2、山下渉訳イントロダクション国際人道法─武力紛争法又は戦争法(ユス・イン・ベロ)としても知られる─は、武力紛争に適用され、二重の目的を有する。すなわち、敵対行為を規制すること、及び武力紛争の被害者を保護することである。しかしながら、国際人道法は、特定の戦争が合法か否かの問題(ユス・アド・ベルム)に答えるものではない。この問題は、国際連合(国連)憲章によって取り扱われる。国際人道法は、あらゆる種類の武力紛争にそれが合法か否かにかかわらず適用され、すべての紛争当事者によって尊重されなければならない。国際人道法の相当な部分、特に敵対行為に関する部分は、ハーグにおける1899年及び1907年の万国平和会議において作成された(「ハーグ法」)。参加国は、陸戦の法規慣例に関する1899年及び1907年のハーグ条約、1907年の海戦における行為に関する各種の協定、並びに毒ガス及び「ダムダム」弾の使用を禁止する1899年の宣言のように、戦争の手段及び方法に制限を課すことを意図する多数の宣言や協定を採択した。武力紛争の被害者保護のための規定(「ジュネーヴ法」)は、1949年の四つのジュネーヴ諸条約に含まれ、次の者を保護する。?戦地にある軍隊の傷者及び病者(第一条約)?海上にある軍隊の傷者、病者及び難船者(第二条約)?捕虜(第三条約)?戦時における文民(第四条約)1949年のジュネーヴ諸条約は、1977年に国際的武力紛争の被害者保護及び非国際的武力紛争の被害者保護に関する二つの追加議定書によって補足された。2005年に追加的な標章の採用に関する第三追加議定書が採択された。敵対行為を規律する規則を近代化した1977年の二つの追加議定書の採択以後、「ハーグ法」と「ジュネーヴ法」を厳格に区別することはもはや妥当ではない。国際人道法は、国際的か非国際的かを問わず武力紛争のみに適用される。ただし、非国際的武力紛争よりも大阪大学大学院法学研究科博士後期課程大阪大学大学院国際公共政策研究科博士後期課程本翻訳は、2009年に刊行された、Swiss Federal Department of Foreign Affairs編、ABC of International Humanitarian Lawの全訳である。原著は英語の他に、ドイツ語、フランス語、及びイタリア語で刊行されているが、翻訳者は英語版のみを参照して翻訳を行った(以下、英語版を原著とする)。本翻訳は、2013年7月に日本赤十字社事業局国際部より依頼を受け、駐日スイス大使館からの許可を得て行われた。原著の目次及び奥付は省略する。原著に註は存在せず、本翻訳に付された註はすべて訳註である。原著の見出し語はアルファベット順で記載されているが、本翻訳では五十音順で記載している。これに伴い、インタビュー調査に関する項目の挿入箇所も原著とは異なっている。原著では、語頭に>の記号が付され且つ斜体で表記されている単語を、本翻訳では、代わりに太字のみで表記している。[謝辞]本翻訳掲載の機会を下さった、日本赤十字国際人道研究センター『人道研究ジャーナル』編集主任の東浦洋教授に、この場を借りて謝意を表する。12******144人道研究ジャーナルVol. 3, 2014