ブックタイトル人道ジャーナル第3号

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概要

人道ジャーナル第3号

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3, 2014を傷つける取扱いの禁止、拘禁の条件に関する最小限の基準及び多数の法的保障が含まれる。強制失踪及び恣意的拘禁(Enforceddisappearances and arbitrary detention)「強制失踪」の概念は、国の機関によって人が逮捕され又は拉致され、彼らの拘禁は認知されず、そして拉致された人の消息及び/又は拘禁場が秘密にされている場合をいう。それ故、当該者は、すべての法的保護を失う。強制失踪は、国際人道法に違反し及び人権を侵害する。いかなる紛争も、自国の安全上のいかなる考慮も、そのような失踪を正当化することはできない。強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約は、2006年に採択されたが、まだ効力を生じていない(2008年の状況)2。とはいえ、国際人道法は、武力紛争に伴う人の強制失踪に関する規定を含んでいる。特にその家族は、彼らに起こったことを知る権利を有する。均衡性(Proportionality)均衡性の原則は、敵対行為のあらゆる局面に適用される。例えば、文民たる住民に不均衡な危害を引き起こし得る軍事目標及び民用物に対する攻撃を遂行することは禁止される3。攻撃を行う前に、予期される具体的かつ直接的な軍事的利益との比較において、文民たる住民への影響が過度か否かを評価する義務がある。区別(Distinction)国際人道法は、文民たる住民を保護し、並びに文民及び民用物に対する攻撃を禁止する。国際人道法の基本原則の一つは、区別原則である。すなわち、紛争当事者は、軍事行動を専ら軍事目標に対して実施する義務を負い、従って文民と戦闘員を、及び民用物と軍事目標を常に区別しなければならない。区別原則は、戦争の手段及び方法に制限を課す。つまり、専ら特定の軍事目標を対象とすることのできない兵器又は戦術は禁止される。クラスター弾(Cluster munitions)クラスター弾は、ヴェトナム戦争やその他の武力紛争の際に、常に(regularly)かつ大規模に使用された。クラスター弾は、広範囲に投下される十数から数百の小型爆弾(子弾)を内蔵する弾体から成る。クラスター弾は、その影響が無差別な故に重大な人道上の影響をもたらし得る。さらに、多くの子弾は爆発せず土地の上に残存し、それ故、文民たる住民にとって長期的な脅威となっている。2008年の5月に、ダブリンにおいて、クラスター弾の製造、貯蔵、移譲及び配備(deployment)4を禁止する国際条約が採択された。条約は、貯蔵の廃棄、除去及び被害者に対する援助の義務も定める。クラスター弾は、1980年の特定通常兵器に関する条約の枠組みにおける交渉の対象でもあり、こちらの枠組みの方にはクラスター弾に関する条約の採択の時に参加しなかった軍事大国が関与している。軍事的必要性(Military necessity)軍事的必要性の原則は、敵対行為の一般原則である。武力(military force)は、必要で、均衡し(均衡性)、そして合法であるということが常に示されなければならない。国際人道法の基本的な関心事は、軍事戦闘員による戦争経験の様相*(How combatantsexperience war)戦争で荒廃した地域では、戦闘員の29%が負傷し、18%が捕虜になり、そして捕虜のほぼ20%が拷問を受けた。捕虜の43%が、その家族が殺害されたと明らかにした。* ICRCによる世界規模の調査「戦争における人々」より人道研究ジャーナルVol. 3, 2014 147