ブックタイトル人道ジャーナル第3号

ページ
150/288

このページは 人道ジャーナル第3号 の電子ブックに掲載されている150ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

人道ジャーナル第3号

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3, 2014的必要性と人道的考慮の均衡がとれていることを確保することである。軍事目標(Military objectives)国際人道法は、民用物と軍事目標とを区別する。軍事目標は、その性質、位置、用途又は使用が軍事活動に効果的に資するものであって、その全面的又は部分的な破壊、奪取又は無効化が、明確な軍事的利益を提供し得るものである。国際人道法に基づき、軍人は、目標となる可能性があるものの性質に常に十分な考慮を払い、そして真の軍事目標とみなされるもののみを選択しなければならない。拷問の禁止(Ban on torture)拷問又は他の残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰は、常にかつすべての場合において、慣習国際法や拷問禁止条約といった各種の国際条約で禁止される。拷問禁止条約の2002年の追加議定書は、国際及び国内組織による監獄及び他の拘禁施設の訪問及び管理によって、拷問を防止する取り組みを強化している。拷問及び残虐な取扱いは、ジュネーヴ諸条約及びそれらの追加議定書でも明示的に禁止されている。武力紛争の過程で実施される拷問は戦争犯罪として扱われ、そして文民たる住民に対する広範又は組織的な攻撃の文脈で実施される拷問は、人道に対する犯罪として扱われる。国際刑事裁判所(International Criminal Court)ハーグにある国際刑事裁判所(ICC)は、国際的な関心事であるもっとも重大な犯罪を行った個人を訴追する。すなわち、集団殺害犯罪、人道に対する犯罪、及び戦争犯罪である。ICCは、国際社会が侵略の概念の定義に同意をした後に、侵略犯罪に対しても管轄権を有することになる。ICCは、補完的な役割を担っている。換言すると、ICCは、訴追について主要な責任を有する国の当局が、必要な捜査又は訴追を真に行う意思又は能力がないことが明らかになった場合にのみ介入する。ICCの法的根拠は、2002年に発効した「ローマ規程」である。今日までに(2008年)、スイスを含む108カ国が条約に加入している5。Humanitarian Fact-Finding Commission)国際人道事実調査委員会(IHFFC)は、ベルンに本部があり、国際人道法の著しい違反の申立てを調査するために、国際社会が利用できる常設の組織である。その権限は、国際紛争及び一国内の紛争の双方を含む。しかしながら、IHFFCの15人の専門家は、すべての紛争当事者が同意するまで調査を開始することができない。IHFFCは、判決を下すことができないという点において裁判所と異なる。その役割は、事実を確認することに限定される。IHFFCは、その認定及び勧告を紛争当事国に報告する。委員会は、国際人道法の適用を支援するために、あっせんを行うこともできる。国際人道事実調査委員会の設置は、1949年のジュネーヴ諸条約の第一追加議定書第90条に基づく。今日までに(2008年)、IHFFCは70カ国に承認されている6。国際人道法の促進(Promotion of internationalhumanitarian law)テロリズムに対する世界的な戦い、文民の敵対行為への直接参加の拡大という現象、紛争に関与する非国家主体の数的増加、及び技術的発展は、国際人道法が目下立ち向かわなければならない課題のいくつかに過ぎない。国際人道法の既存の諸規則は、これらの課題に対処するのに十分であるが、これらの諸規則の履行は未だに不十分である。従って、特に既存の諸規則の再確認及び周知によって、並びにいくつかの諸規則のいっそうの明確化によって、関係主体が、国際人道法のより高度な尊重及び履行を確保することが重要である。国際赤十字・赤新月運動(International RedCross and Red Crescent Movement)国際赤十字・赤新月運動には、赤十字国際委員会、各国の赤十字社及び赤新月社、及び国際赤十字・赤新月社連盟が含まれる。運動の目的は、緊急事態に及び特に武力紛争に巻き込まれる人の生命、健康及び人間の尊厳を主として保護することである。これに関して、その活動は七つの基本原則に従う。運動の構成員及びジュネーヴ諸条約の締約国は、赤十字・赤新月国際会議のために四年ごとに集まる。国際人道事実調査委員会(International国際連合(United Nations)148人道研究ジャーナルVol. 3, 2014