ブックタイトル人道ジャーナル第3号

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概要

人道ジャーナル第3号

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3, 2014敵対行為(Conduct of hostilities)武力紛争の際に、戦争の手段及び方法のすべてが認められるわけではない。国際人道法は、許容される軍事行動、戦術及び兵器を規定する。一般的に受け入れられている区別及び均衡性の原則の二つは、文民たる住民又は民用物に対する直接攻撃の禁止、無差別な攻撃の禁止、そして予防的な措置(予防措置)を採用する義務のような、文民の間の死傷者や民用物に対する損害を最大限可能な限り避け又は制限するための、多数の特別の諸規則の基礎である。敵対行為への直接参加(Direct participation inhostilities)戦闘員のみが敵対行為に、すなわち、戦闘に直接参加することを認められる。敵対行為に直接参加する文民は、この参加の間、攻撃からの免除を失う。文民は、敵対行為に関連する活動に増々関与している。さらに、民生上の機能と軍事上の機能の区別が次第に困難になってきている。赤十字国際委員会が、その概念を明確にするために多数の協議を開始したのは、この理由のためである。適用(Applicability)国際人道法は、国際的及び非国際的双方の武力紛争に適用される。国際人道法は、武力紛争が開始された時から効力を生じ、軍事行動の全般的終了又は占領の終了の時まで引き続き効力を有する。ある種の規定は、事実上の事態が継続する限り引き続き効力を有する。それ故、例えば、ジュネーヴ第三条約は敵対行為の終了後も捕虜を保護する。デュナン、アンリ(Dunant, Henry)スイスの実業家で、1859年にロンバルディアにおいて、ソルフェリーノの戦いを偶然に目撃した。目撃したものに衝撃を受けたことから、1862年にアンリ・デュナンは『ソルフェリーノの思い出』を出版し、その中で軍事医療要員を援助し及び支援するために、ヨーロッパの各国に篤志救済組織(voluntary aidorganization)を創設することを提案した。各国は、軍事病院及び医療要員の中立を認めることを公式に約束し、そしてそれらの保護を確保した。1863年には、すでに傷病兵救援国際委員会が設立されており、1876年に赤十字国際委員会と改称された。1864年にジュネーヴにおいて、戦場における軍隊中の負傷軍人の状態改善に関する最初のジュネーヴ条約が採択された。テロリズム(Terrorism)「テロリズム」の概念は、国際法で未だに定義されていない。とはいえ、国際法、人権及び国際人道法は、多くのテロリズム関連行為及び活動を禁止する。実際に、文民たる住民又は民用物に対して打撃を与えること、無差別な攻撃、又は人質をとることのような、一般的にテロリズムの行為とみなされる行為は、国際人道法に従って、国際的武力紛争及び非国際的武力紛争の双方において禁止される。さらに、国際人道法は、文民たる住民の間に恐怖を広めることを主たる目的とする暴力行為又は暴力による威嚇を明確に禁止する。いわゆる「対テロ戦争」は、政治的な概念で、法的な概念ではない。国際人道法は、専ら武力紛争に、例えばアフガニスタンやイラクにおける武力紛争に適用される。2004年のマドリード、及び2005年のロンドンにおける攻撃のように、「対テロ戦争」に関連する事態には適用されない。このことは、テロリストの行為とそれらと戦う取り組みが、法の対象とならないと言っているわけではない。すなわち、人権、関連国内法及びテロリズムとの戦いに対処する各種の国際条約が、そのような事態に適用される。内戦(Civil war)非国際的武力紛争のことである。内戦は、一国の主権領域内でその軍隊と、継続的かつ協同的な戦闘を実施する反乱軍又は国家以外の武装集団との間で生ずる。国内における騒乱や緊張は、武力紛争とみなされない。七つの基本原則(Seven fundamental principles)国際赤十字・赤新月運動は、七つの基本原則を掲げている。?人道:人間の苦痛は、予防され又は軽減され、生命及び健康は保護され、そして人間の尊厳は尊重される。?公平:いかなる差別も禁止される。?中立:運動は、軍事情勢、政治、人種、信条及び宗教に対して中立である。?独立:運動は、軍事情勢、政治、信条、宗教及び経済的利益に対して独立である。?奉仕:救済は、奉仕的及び公平無私な原則に基づき提供される。?単一:各国に一つの赤十字社のみが存在する。154人道研究ジャーナルVol. 3, 2014