ブックタイトル人道ジャーナル第3号

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概要

人道ジャーナル第3号

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3, 20141949年のジュネーヴ諸条約に従い、特別の保護を受ける権利を有する者は、「保護される者」とみなされる。それらには、傷者、病者及び難船者、捕虜、敵の領域及びその管理下にある文民、占領地域における文民が含まれる。次の者は、通常は保護される者とみなされる。すなわち、医療要員及び宗教要員、救助要員及び文民保護の要員、外国人、紛争当事者の領域にある難民及び無国籍者、並びに女性及び児童である。捕虜(Prisoners of war)捕虜は、国際的武力紛争において敵に捕らえられた戦闘員である。商船及び民間航空機の乗組員、及び直接的には軍隊の構成員ではないが軍隊に随伴する他の者は、捕虜となる権利を有する。拘禁の条件及び労働力としての使用は、第三ジュネー1ヴ条約5によって規律されている。捕虜は、赤十字国際委員会の代表による訪問を受ける権利を有する。国際人道法の下では合法な戦争行為(acts of war)について、捕虜は刑事責任を問われない。捕虜は、その捕虜たる地位を自由に放棄することはできない。捕虜の世話をする医療要員及び宗教要員は、同一の待遇を受ける権利を有するが、捕虜とみなされてはならない。他方、傭兵及び間諜は、捕虜の地位が通常認められない。民間軍事警備会社(Private military and securitycompanies)紛争状態にある国家には、増加する任務を民間軍事警備会社へ回す傾向がある。これらの任務は、文民及び民生用の基盤設備の保護だけではなく、軍要員及び軍事用の基盤設備の保護、兵士及び警察官の訓練、及びコンサルタント、兵站、兵器システムの運用、並びに情報収集、そして場合によっては戦闘支援分野における業務を含む。これらの私的行為主体は、国際人道法によって保護される者と常に接触をするが、さらに敵対行為に直接参加することさえある。これらの会社の従業員は、国際人道法を遵守する義務があり、そして関係国は、彼らがそうすることを確保しなければならない。2006年に、スイスは、赤十字国際委員会と連携して、紛争地帯で活動している民間軍事警備会社が、国際人道法及び人権を尊重することを確保するための国際的な取り組みを開始した。2008年に、その取り組みは、いわゆるモントルー文書の公表という成果を生んだ。民用物(Civilian objects)国際人道法は、民用物と軍事目標とを区別し、前者に対する暴力行為を禁止する。ある特定の民用物に特別の保護を与える規定があり、それらの中には特殊標章を掲げることが予定されているものがある。すなわち、医療組織及び医療用輸送手段、礼拝所、文化財、文民保護の施設、住民の生存に不可欠な物、自然環境、そして危険な力を内蔵する工作物及び施設(例えば、原子力発電所及びダム)である。民用物は、軍事目標以外のすべてのものをいう。無用の苦痛(Unnecessary suffering)16無用の苦痛を与えることに関する禁止は、国際人道法の基本原則の一つである。それは、戦争の手段及び方法に制限を課す。戦闘員は、彼らを戦闘外に置くために必要な暴力(force)のみを受ける。保護組織*(Protection organisations)どの組織が、戦争時に文民の保護に関して中心的役割を担っているのか。インタビュー対象者の42%が、赤十字国際委員会、赤十字及び赤新月を最も重要な組織として挙げた。国際連合は二位で(32%)、国際人道団体及び非政府機関よりも上位であった。宗教指導者は、四位であった(18%)。インタビュー対象者の84%が、赤十字又は赤新月標章を正しく識別することができた。* ICRCによる世界規模の調査「戦争における人々」より158人道研究ジャーナルVol. 3, 2014