ブックタイトル人道ジャーナル第3号

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概要

人道ジャーナル第3号

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3, 2014行して、連盟およびICRCは、赤十字・赤新月運動内の協調の包括的な枠組みを確立する作業に着手しました。私としては、この運動体の枠組みが国際的な災害救護と紛争だけでなく、長期的な開発や、人道外交、コミュニケーション、資源の動員を含む他の様々な分野における支援も対象としたものになることを期待しています。2015年の国際会議では、包括的で、簡潔かつ一貫性のある枠組みにより、運動体の各構成団体の役割と責任がより明確化されることになります。今年9月、私は連盟会長としてICRC総会に招かれました。そのときの私のスピーチでは、多くの社にとって懸案事項であった、ICRCと各国赤十字・赤新月社の関係に焦点を当てました。そして、各社とより良好な関係を築く上で、政府の補助機関たる各社の尊厳と主権を尊重するよう、これまで以上の配慮をICRC側に求めました。お分かりのように、ICRCは各社を必要とし、また各社がICRCを必要としていることも事実です。赤十字・赤新月運動内の協調は、1つの選択肢ではなく、必須事項なのです。皆様、私たちは「2020年戦略」の半ばにさしかかり、中間レビューの準備を開始しなければなりません。その過程において、今日、人道支援ニーズが変化していることを考慮することは当然のことです。しかしその一方で、私たちの優先的重点事項は、変わらず「2020年戦略」の行動1を実現することにあります。すなわち、緊急時および平時のいずれにおいても、個々として、あるいは連盟という集合体として組織機能及び中核的な活動を維持できるよう、各社の能力を強化することです。「2020年戦略」および連盟自体の最終的な目的は、弱者の暮らしに大きな違いをもたらすことであり、その達成のためには、各社の組織強化が極めて重要なものとなります。私たちは、多くの社が組織を強化してきたことを称賛すべきです。このことは、圧倒的多数の社が世界中の弱者に向けて日々必要なサービスを提供しているという事実からもよく分かります。リーダーシップが適切に交代し、定款を最新の状態に保つことによって、ガバナンスを向上させていることもまた、組織強化が成功していることを表しています。姉妹社の活動を支援するドナー社の数も増加しています。しかし一方で、「組織能力の評価および認証(Organizational Capacity Assessment and Certification:OCAC)」の結果、各社が直面する数多くの課題が浮き彫りになったことも踏まえる必要があります。課題の1つは、189のメンバー社のあまりにも多くが限られた収入源に頼りすぎていることであり、姉妹社による資金提供のみがほとんど唯一の収入源である場合も多くあります。自立を達成する方法は数多く存在しますが、何よりもまず、各社がそれぞれの状況において最適な選択肢を探り、それを達成するために努力することが大切です。私は連盟会長としての1期目に、収入を生み出す活動を開始して成功させ、自立へと移行した多くの社を目にし、そこから学びました。また、開発途上国の社が地域密着型の活動を慎重に構築し、ボトムアップのアプローチを強化したのち、控え目ながら健全な組織基盤を構築する様子も見てきました。ピアツーピアの支援に成功しているケースもいくつかありました。その一方で、姉妹社からの資金提供による長期にわたる外部支援が、それを受ける社の組織的発展と持続可能性をもたらしていないケースがあることも事実です。姉妹社からのピアツーピアの支援が有益なものである人道研究ジャーナルVol. 3, 2014 209