ブックタイトル人道ジャーナル第3号

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概要

人道ジャーナル第3号

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3, 2014研究・実証プログラム、OPSICを開始した。同センターは、8ヵ国の11パートナーと協力して国際的な合同支援組織を運営している。セキュリティ・ユニット(Security Unit)は、各国赤十字・赤新月社が安全保障に関するインシデントの発生を記録できるよう、安全保障に関する新たなインシデント・データベースの普及を進めている。このデータベースの目的は、連盟や各社の安全保障に関するインシデントを事務局が把握・分析する能力を高めることである。同ユニットは、インシデントの分析や定期報告、活動報告、活動の安全面の評価を通して得られた教訓をもとに、連盟や各社に支援とアドバイスを提供している。また安全確保のための訓練の要請も高まりつつある。これらの活動は、報告と分析から得られた教訓をもとに安全保障計画の能力を向上させ、安全保障に関するインシデントの効率的な管理と予防を促進し、事前の対策を講じる能力を高める。緊急避難所については、さまざまな部門の協力と利害関係者のネットワーク作りによって世界的取り組みや施設の提供が進んでいる。事務局は、ノルウェー難民評議会(Norwegian Refugee Council)と協力してドナーとのハイレベル会合を開催し、土地利用権の確保に関する実務的な定義について合意するとともに、登録されている地主だけでなく多様な利用権の下にある受益者に緊急避難所や仮設住宅を提供するための財源を集めようとしている。事務局は、基本原則が採択されて50周年に当たる2015年に向け、ICRCと共同で基本原則に関する国際赤十字・赤新月運動全体の意見交換を始めた。その目的は、基本原則の採択を祝うとともに、現代社会におけるその意味や赤十字・赤新月運動全体への適用方法ついて真剣に検討することである。この意見交換は、さまざまなレベルに属し、由来や地理的背景をそれぞれ異にする赤十字・赤新月運動の各構成組織、スタッフ、ボランティアを対象として行われ、基本原則に対する3つの展望((i)個別の展望、(ii)赤十字・赤新月運動の独自性と位置づけに関する展望、(iii)活動面での展望)について話し合うものである。赤十字・赤新月運動は、ヨーロッパでの財政危機の長期化に伴い、既存の社会的弱者の環境がさらに悪化するとともに新たな弱者層が出現していることを確認した。この新たな弱者層は、中流階級を中心とした「ニュープア」や「ワーキングプア」と呼ばれる集団である。各国赤十字・赤新月社は、さまざまな手段を駆使してニーズに応えているが、それぞれの社も収入減とニーズの増加に直面している。しかし同時に、経済危機によって連帯感が高まり、一部では積極的な募金や食糧支援、労働力の提供も増えている。そのためこれらの資源を活用するチャンスが生まれ、新たなボランティア・グループを有意義な活動に派遣できるようになった。本報告書の編集と並行して、連盟では『ヨーロッパの経済危機が人道に与える影響(The Humanitarian Impact of the Economic Crisis in Europe)』と題した研究プロジェクトが行われている。スフィア(Sphere)プロジェクトにおいて、事務局はその主導役を円滑に果たし終え、新たなホストであるICVAにその役割を速やかに引き継いだ。連盟は、今後もこの「人道憲章と人道対応に関する最低基準」の実行に参画し、スフィア理事会のメンバーとして意欲的に関与する。また連盟は、スフィア・プロジェクト、人道支援の説明責任プログラム(Humanitarian AccountabilityPartnership)、ピープル・イン・エイド(People in Aid)といったイニシアティブへの関与を通してジョイント・スタンダード・イニシアティブ(Joint Standards Initiative)にも積極的に貢献している。このイニシア216人道研究ジャーナルVol. 3, 2014