ブックタイトル人道ジャーナル第3号

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概要

人道ジャーナル第3号

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3, 2014ティブは、世界的な人道基準の統一を進めようとする事業である。この重要なプロセスを実施するため、第一段階として2013年末までに中核となる人道基準を定める予定である。事業分野2:弱者のための赤十字・赤新月活動の推進連盟は、シリアなど、危機的な人道ニーズの高まりに直面している国々への支援活動を継続的に強化している。2013年7月までに紛争による死者は10万人以上、避難民は700万人以上に達した。今回の危機勃発以降、シリア赤新月社のスタッフとボランティアは、シリア国内における人道支援活動の最前線で活動している。シリア赤新月社はこれまでにシリア国内の人々に最大の支援を行っている組織であり、その規模は月平均200万人以上に上っているが、活動の安全性が脅かされる状態が続いているため、赤新月運動を構成する各組織は、赤新月マークへの敬意と国際人道法の遵守を訴え続けている。支援活動中に死亡または負傷したシリア赤新月社のスタッフとボランティアは、2013年9月現在、22人にも上る悲惨な状況である。シリアにおいて連盟は、食糧や救援物資、医療物資およびサービス、物流・輸送手段、通信機器などの提供やスタッフとボランティアの訓練といった他の組織が対応できない緊急ニーズにシリア赤新月社が対応できるよう支援している。危機は域内の多くの国にも影響を及ぼしているため、連盟は近隣の国々のキャンプやホスト・コミュニティで暮らすシリア難民への支援をますます強めている。イラクでは、イラク赤新月社が食糧や水、避難所での生活用品、衛生キットなどを配布し、救急処置や心理社会的支援を提供している。またヨルダンでは、ヨルダン赤新月社が最弱者層の難民(キャンプやホスト・ファミリー宅で生活する人々など)への重点的支援、資金の提供、家族のつながりの回復といった活動を行っている。レバノンでは、レバノン赤十字社が救急処置や血液の供給といった救急医療を提供し、病人や怪我人をレバノン北部の認定病院に搬送している。パレスチナ赤新月社のレバノン支部も、難民や怪我人を治療している。トルコでは、トルコ赤新月社が食糧や避難所での生活用品、衛生用品、衣料品などをキャンプその他で暮らす難民に提供している。パレスチナ地区やエジプト、北アフリカでも各社がシリア難民のニーズに対応している。2012年から2013年の前半にかけて、各国赤十字・赤新月社は400件以上の小~大規模災害に対応した。連盟は、災害救援緊急基金(DREF:Disaster Relief Emergency Fund)を通して支援を動員し、各国赤十字・赤新月社185社の災害対応活動を支えるとともに、40件以上の国際緊急アピールを発した。2012年のみで36件の緊急アピールが発せられ、その総額は1億7,730万スイスフラン、受益者は432万2,755人に上った。また、135件(総額2,283万6,393スイスフラン)にDREFが拠出され、1,227万1,871人の受益者に支援が行き渡った。災害や危機への対応を通して我々は、本質的にこれらの災害や危機が気候変動や近年の社会不安を反映してますます激化するようになったことを認めている。10年間の平均値と比較すると2012年は、台風や洪水の発生は20パーセント少なかったが、食糧不足と干ばつのアピールは10倍に増えた。また住民の移動は3倍、背景の複雑な緊急事態は8倍に増えた。一方で保健衛生の緊急事態は40パーセント減少した。人道研究ジャーナルVol. 3, 2014 217