ブックタイトル人道ジャーナル第3号

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概要

人道ジャーナル第3号

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3, 2014政策面では、1981年以降に赤十字・赤新月国際会議で採択された3つの決議6でも障がい者に対する運動の責任が表明されている。連盟は先頃、ジェンダーと多様性に関する戦略的枠組み(2013~2020年)を発表しており、2013年総会で採択される見込みである。この戦略的枠組みでは、ジェンダーに重点が置かれる一方で、障がい者は多様性の範疇に入れられている。過去30年にわたるこうした事情を踏まえて、本意見書では、障がい者の社会的包摂に対する直接的責務として運動はまだ多くのことを実行できることを確認するとともに、次のような役割と責任を提案する。各国赤十字・赤新月社は、一国内における主要な運動推進者として、障がい発生防止・障がい者包摂プログラムの推進ならびに同一地域の他の運動構成員の支援に取り組むことを活動目標としている。また、政府を補助する立場から、UNCRPD締結国として政府が定期報告をおこなうにあたって、それを支援することもできる。各社の草の根ネットワークの存在や人道活動で当該国の公的機関を補助する役割もまた、障がい者の社会的包摂拡大を阻む障壁を排除することを目指す国家戦略に寄与するという特別な資格が各国赤十字・赤新月社に与えられる要因となっている。各国赤十字・赤新月社は、それぞれの国において脆弱性への対応を継続していくことを通じて、社会から疎外され置き去りにされている人々(その多くが障がい者)のニーズや関心に各社の構想が対応すべく、社会的包摂という課題を活動の中心としていく。各国赤十字・赤新月社は、各社間のほかに、身体的・精神的障がいを抱える人々の社会的包摂の推進に取り組む国際組織との協力も活発にしていくことが重要であることを認識する。国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)は、資源動員および財源・人材管理などの分野で必要とされる組織体制を各国赤十字・赤新月社が確立するのを支援するとともに、各社が連盟2020年戦略の戦略目標3に対応した上で本意見書で取り上げられているプログラムを自身の活動展開計画に盛り込むことを援助する。また、保健・災害対策・人道外交・リスク軽減・緊急対応に関する自らの体制にも、障がい者への対応を盛り込んでいく。さらに、関連する国際フォーラムに参加することを通じて、各国赤十字・赤新月社が障がい者の社会的包摂の実践経験を発表し、国際的場において障がい者の声を伝えることで、障がい者のニーズと関心に社会の目を向けさせる機会を作り出すことを目指す。赤十字国際委員会(ICRC)は、武力紛争などの暴力状況において、委員会独自の活動と国家機関および各国赤十字・赤新月社との協力の両面で、障がいを抱えて生活する人々に関わるリハビリテーション・プログラムなどの活動を継続しておこなっていく。また、武力紛争の前・最中・後に障がい者のニーズや問題に対処する上で、法律や能力開発などの分野で国家機関がとりうる対策を明確にし、関係当局ならびに各国赤十字・赤新月社に対して提案していく。さらに、武力紛争の前・最中・後に障がい者特有のニーズに対応するプログラムに着手することを望んでいる各国赤十字・赤新月社に対して、専門知識、助言および支援を提供していく。5.行動連盟、ICRCならびに各国赤十字・赤新月社の代表によるリファレンス・グループが、関連資源材を含む、障がい者の社会包摂に関するより詳細な戦略的枠組みを策定して、全運動構成員の参画を確実なものとする。それが実現するまでの間、障がい者の社会的包摂に関するプログラムおよび対応の指針になるものとして、運動構成員に対して以下の行動を示す。6第24・25・31回赤十字・赤新月国際会議採択の決議を参照(1981年マニラ会議決議XXVII、1986年ジュネーブ会議決議28、2011年ジュネーブ会議決議2)。278人道研究ジャーナルVol. 3, 2014