ブックタイトル人道ジャーナル第3号

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概要

人道ジャーナル第3号

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3, 2014特別寄稿1864年8月22日─ジュネーブ条約誕生~その歴史と直面する課題赤十字国際委員会委員会メンバーフランソワ・ブニョン1Francois Bugnion @ ICRC悲惨な戦場の現実と、手当てを受けられず放置されたままの何千もの負傷兵を目の当たりにしたスイス人実業家アンリー・デュナン。彼は、実際に体験した苦悩を一冊の本に著しました。「ソルフェリーノの思い出」と題されたこの本は、彼と同じ時代に生きる人々だけでなく、後世にまで多大な影響をもたらすことになります。このなかには、二つの提案が記されています。?戦場での救護要員として、平時から各国に救援団体を組織すること?国際的な条約を締結し、戦闘組織の医療従事者と戦場の医療施設を保護すること同著が1862年11月に発表されるとすぐに、デュナンの思想を具体化するための五人委員会がスイス・ジュネーブで発足、やがて赤十字国際委員会(ICRC)へと発展を遂げました。1863年10月26日から29日にジュネーブで開催された初会合では、ボランティアで構成される救援団体の基礎が策定され、今日も189カ国で活動を展開する各国赤十字社・赤新月社へと拡がることとなります。その翌年、委員会はジュネーブで外交会合を開きました。そして1864年8月22日、現在の国際人道法の出発点となる第一回ジュネーブ条約が締結されたのです。同条約の大きな柱は次の二つです:?医療活動の中立原則:医療従事者と救急車は中立であり、戦闘員はこれを尊重し保護しなければならない。?公平の原則:負傷兵はその出身国に関わらず保護・手当てを受けられるようにしなければならない。1864年のジュネーブ条約はその後、度重なる紛争で得た教訓を反映して1906年、1929年、1949年に改正されました。また、海戦傷病者と難破船の保護や戦争捕虜と文民の保護といった条項を取り入れた新たな条約が1899年、1929年、1949年、1977年に追加されました。現在の国際人道法の礎となる、こうした過去の様々11945年生まれ。政治学の学士号と博士号を有し、国際人道法と人道活動に関する個人コンサルタントとして活躍。1970年に赤十字国際委員会(ICRC)に入り、国際救援要員としてイスラエル占領地パレスチナ自治区、バングラデシュ、トルコ、キプロスで支援活動に従事。首席代表としてチャド、ベトナム、カンボジアに派遣された経験を持つ。2000-06年には、ICRCの国際法および国際協力担当局長を務めた。執筆も多く、出版された国際人道法や赤十字の歴史に関する書籍や記事は50を超える。代表的なものに、「赤十字国際委員会と戦争被害者の保護(The International Committee of Red Cross and the Protection of WarVictims)」がある。2010年にICRCの最高意思決定機関である委員会(Assembly)のメンバーに選出され、現在に至る。2人道研究ジャーナルVol. 3, 2014