ブックタイトル人道ジャーナル第3号

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概要

人道ジャーナル第3号

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3, 2014取得を申請させた。草の根無償資金によって地元政府が資材を購入し、この資材を使用して日本隊が施工を行った。道路整備と排水改善は、草の根無償との連携により、着工から1年以内に路面と排水溝の整備を完了できる即効性を持つ案件となった。草の根無償を活用して自衛隊が施工をするのは、国連PKOにおいては初めての取組みである。こうした取組みには、PKO部隊のリソースの一つとして草の根無償を活用できることの他、即効性のある案件を可能とした点で意義があるといえる。イJICAとの連携ア「ジュバ市浄水場施設の拡張」国際協力機構(JICA)は、2005年の包括的和平合意(CPA)締結以降、南スーダンへの支援を行っており、その中の事業の一つに「ジュバ市の浄水場施設の拡張事業」があった。ジュバ市の浄水場はナイル河の支流であるジュベル川から取水し、浄化してジュバ市内に飲料水を供給するプラントである。JICAはこの浄水プラントを拡張して水の供給量を増やす計画である。浄水場を拡張する背景には、ジュバ市内での著しい井戸の不足がある。住民がナイル河の原水を飲用するため、汚染した水に起因する疾病が蔓延したりする。住民への安全な水の提供は、南スーダン政府やUNMISSが重視する支援活動である。日本隊は、浄水場内の不要となった既存施設の解体作業をUNMISSからタスクの発出を受けて実施した。自衛隊が国連PKOにおいて、JICAと連携して活動を行うのは初めてであり、南スーダンにおいて始まった新たな取組みの一つである。イ「ジュバ・ナバリ地区コミュニティ道路」案件への技術協力JICAと日本隊との連携は、浄水場の旧施設の解体作業のみならず、技術協力も行われている。ナバリ地区の道路・側溝の施工計画を策定する際、対象とする地域の年間降雨量に基づく排水溝の容量設計が必要であった。また、地域の地形傾斜による水門・水利調査なども必要で、こうした専門的な調査をJICAが実施し、事業の基本計画を作成した。日本隊はJICAから調査結果と基本計画の提供を受け、日本隊の技官が施工計画を策定した。?国連機関等との連携アUNHCR「帰還民収容施設の建設」UNHCRは北スーダンからジュバに到着した帰還民を再定住の目途がつくまで一時的に収容する施設を運営している。2012(平成24)年3月~4月にかけて、北スーダンから南スーダンへの帰還民の増大が予測されていた19。UNHCRは帰還民の増大に伴い収容キャパシティの不足を見越し、100名程度収容できる収容棟を2棟、早急に建設したいニーズを持っていた。日本隊ではUNHCRの帰還民収容施設建設のニーズを把握し、UNMISS司令部と調整して日本隊のタスクとして発出を受け、収容施設の建設を実施した。南スーダン政府にとって国民再統合事業は重要な課題であり、これを支援するUNHCRに対する支援は、UNMISSのマンデートとも合致したものであった。イUNDP「ジュバ大学建設の施工モニタリング」UNDPはジュバ大学の図書館・校舎・管理棟の建設事業を進めていた。建設と施工は、ケニア、エチオピア、中国の建設業者4社(うち中国2社)が建物、外構工事などを分担受注していた。UNDPでは工程進捗を管理し確実に施行を進めるために日本隊に4社の工程のモニタリングと施工に関する必要な助言をしてもらいたいというニーズがあった。本案件はUNMISSの事務総長特別副代表(DSRSG)トビー・ランザー(Toby Lanzer)氏が直接日本隊に打診してきたものであった。日本隊は技官と豪軍要員によるモニタリングを実施した。ウUNICEF「横断歩道塗装・設置(ゼブラ・プロジェクト)」人道研究ジャーナルVol. 3, 2014 49