ブックタイトル人道ジャーナル第3号

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概要

人道ジャーナル第3号

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3, 2014?役割の棲み分けの標準化―「機能的補完・時系列的分担モデル」―NGO等の人道支援組織も地元のコミュニティに密接に溶け込み進めていくケースが多い。PKOと開発との棲み分けは個々の案件毎によく検討をしなくてはならない。非代替性と緊急性の原則に沿った活動を横断的に見ると、文民組織と軍部隊の役割の棲み分けとして「機能的補完」と「時系列的分担」とを抽出することができる。アモデル1:機能的補完(図1)UNHCRへの支援活動では、日本隊は重機を使用して土地造成と施設建設を行った。文民組織が支援活動を進めるうえで、施設機械力が必要であるニーズに対して部隊のアセットを提供したわけである。このアセットの提供は機能的な補完を行ったといえるものであろう。軍側は文民組織の活動と矛盾したり、支障をきたすことを避ける着意が必要である。どのような内容・質・量の案件を形成するかは、その地域に根を張って活動している文民アクターとの調整を経て案件化するプロセスを標準化する努力が必要と思われる。文民側が対応できないニーズに対して軍側が文民組織の活動を補完できる部分を担うことで「機能的補完」という連携が可能となる。イモデル2-時系列的分担(図2)「ジュバ・ナバリ地区コミュニティ道路の整備作業」ではニーズへの対応として、日本隊は草の根無償を活用してセメントと砂利を混合させた路面舗装による道路補修と側溝整備を行っている。施工計画では、アスファルト舗装に比して維持管理にほとんど経費がかからないセメントと砂利の混合による簡易な路面舗装とし、側溝は石積み工法を採用した。道路をセメントと砂利による簡易な舗装としたのは、維持管理の容易性を考慮したものである。南スーダンにはアスファルト舗装を施行できる建設業者が数社程度しかなく、アスファルトの製造プラントも少ない。アスファルト舗装には高額の経費がかかり、施工には専用の重機が必要である。コミュニティ道路の維持管理の責任は州政府にあるが、インフラ整備等の資金は十分ではない。アスファルト舗装道路を整備しても、陥没や破損などがおきた場合に補修経費を負担しきれないという実情がある。しかしセメント・砂利・石等であれば現地市場で安価で入手でき、地元住民らの手作業で補修ができる利点がある。コミュニティが冠水する現状の改善は、簡易な舗装と石積側溝で解消でき、維持管理人道研究ジャーナルVol. 3, 2014 51