ブックタイトル人道ジャーナル第3号

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概要

人道ジャーナル第3号

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3, 20142011年3月11日の東日本大震災以降、2年間に渡り日本赤十字社および国際赤十字・赤新月社連盟が実施した復興活動評価に関する調査団の団長としての所見メルセデス・バベ・R 12013年、私は日本赤十字社(以下、日赤)および国際赤十字・赤新月社連盟(以下、IFRC)が2011年3月11日の東日本大震災以降2年間に渡って実施した復興支援活動の評価にかかる調査団に参加するという機会に恵まれた。それに先立ち、当初6ヵ月間の日本での人道支援活動に対して、高所得国における大規模災害支援対策・対応という観点からどうであったかについて、別の評価が行われた。私は調査を終えて帰国すると、スペイン赤十字社の同僚や友人、家族から決まって次のような質問を受けた。それは、「どうだった?すべて上手くいったの?日赤の仕事ぶりは?評価は良かったの?」というもので、まるで数学の問題のように一つの解を得ようとするものであった。しかし、実際はそのようなものではなく、そのための評価でもなかった。評価は次の2つの目的を持って行われたのである。?しかるべき説明責任を果たし、また関係機関の組織としての学びを得る。?日赤が当初2年間の復興活動の教訓を活かして、さらに効果的な支援調整メカニズムを持ち、有効な活動を国内で実施できるようにする。そして、投げかけられた質問に対して、私は確信を持って赤十字の全体的な対応は有効であり、復興活動は2011年3月の三つの災害(地震、津波、原子力発電所の事故)で被害を受けた多くの人々の生活を一刻でも早く回復できるよう、迅速に実行されたと断言できた。ここで、日赤の活動に関していくつか私の所見を述べると共に、日本人ならではの国民性というものを明らかにしてみたいと思う。まず、日赤が示した素晴らしい姿勢である。それは、海外からの独立したチームを受け入れた上で、彼らが日赤の活動を評価し、またIFRC全体や各国赤十字・赤新月社として今後の活動のための教訓を得るということを可能にしたことである。復興支援プログラムの外部評価の実施は、赤十字社の活動の精度を証明し、また、教訓を自らの組織の学習として活かそうとする素晴らしい取り組みである。日赤には透明性を以て前向きに評価を受け入れ、そして、評価から得た提言を実行しようという姿勢があった。評価の目的を2つ述べたが、実はそれぞれがさらに多くの目的に展開している。例えば、国際支援の最善策の導入方法を評価すること、そして大規模災害後の日本のようなケースでの(特化するわけではないが、高所140年以上に及ぶ赤十字ボランティアとして、また職員としての経験をもち、バルカン地域とアフリカ大湖地域における難民問題に際して、社会福祉・心のケア要員派遣を坦当するシニア社会福祉担当官として、1992年から1999年まで、在ジュネーブの国際赤十字・赤新月社連盟に勤務した。その後、スペイン赤十字の国際協力部長に就任。2012年末からは、同社の組織連携部長。米国クリ-ブランド州立大学社会・ボランティア組織管理学修士。人道研究ジャーナルVol. 3, 2014 75