ブックタイトル人道センタージャーナル第3号 付録(提言書)

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概要

人道センタージャーナル第3号 付録(提言書)

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3 Annex, 2014序文日本は、地理的、地形的、気象的諸条件から、地震、火山噴火、台風、豪雨、豪雪等の自然災害が発生しやすい国であり、1950年代までは大規模地震や大型台風により死者数千人に及ぶ被害が多発した。しかし、近年になり、防災体制の整備・強化、国土保全の推進、気象予報精度の向上、災害情報の伝達手段の充実等を通じた災害に対する脆弱性の軽減と災害対応能力の向上により、自然災害による被害は減少してきた。これは、分権型の災害対応システムにより、各自治体が災害管理サイクルの各段階においてきめ細かく改善に取り組んできた成果とも言える。しかしながら、2011年3月の東日本大震災では、地震、津波、原子力発電所の事故が結びつき、日本は世界でも前例のない大規模な複合災害を経験した。一部の被災地の自治体は一時機能不全となり、また、被災地が広範囲に及んだため、支援ニーズの全体像を把握することに時間を要し、国内外の支援を円滑に活用する上で大変な苦労に直面した。その経験を振り返り、国際協力機構(JICA)、国連人道問題調整事務所(OCHA)、日本赤十字社(JRCS)の三者共催による「国際人道支援セミナー」が、2012年7月5日、東京広尾の日本赤十字看護大学において開催された。OCHAニューヨーク本部局長が国際人道支援活動の課題に関する基調講演を行い、外務省及びJICAが日本の国際緊急・人道支援に関する取り組みを紹介した。その後、東日本大震災当時のJICA国際緊急援助隊事務局長がファシリテーターとなり、内閣府、JRCS、経済団体連合会(経団連)、ジャパン・プラットフォーム(JPF)及びOCHA神戸事務所代表者によりパネル・ディスカッションが行われた。その際特に(1)東日本大震災の国際支援受入れや被災者支援の関係者間の調整にあたりどのような課題・教訓があったか、(2)東日本大震災の経験をどのように今後の国際人道支援に活かしていくべきかといった点につき、実務者による率直な意見交換がなされた。とりわけ、国際人道支援活動と今次震災における国内対応で共通して根底に流れる多くの課題があり、海外および国内の双方で災害対応や人道支援業務に携わっている関係機関がそれぞれの経験や強みを持ち寄ることで、国内および海外での対応を改善していくための具体的な取り組みをリードしていくことの意義が強く認識された。閉会挨拶を求められた私は、単発的なイベントに終わらせることなく、本セミナーの成果に基づき議論を継続・深化させるべく研究会立ち上げを提案した1。その結果、日本赤十字国際人道研究センターが、その研究会のホストになり、国際人道支援に関わる諸団体からの自発的な参加者により「東日本大震災と国際人道支援研究会」が発足されるところとなった。1このセミナーの報告については、http://www.jica.go.jp/topics/news/2012/20120720_01.htmlを参照。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・人道研究ジャーナルVol. 3付録, 2014 1