ブックタイトル人道センタージャーナル第3号 付録(提言書)

ページ
20/66

このページは 人道センタージャーナル第3号 付録(提言書) の電子ブックに掲載されている20ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

人道センタージャーナル第3号 付録(提言書)

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3 Annex, 2014意をむだにすることなく、被災者の利益の最大化を図るためには、「より良く受け入れる」ためのより一層の工夫と努力が求められる。(2)東日本大震災への対応において明らかになった課題災害初期の段階において、被害が広範囲にわたり、かつ自治体自体が被災したため、国が被災地の支援ニーズを一元的に把握できなかった。支援の受入れにあたっても国と被災自治体との調整に時間を要し、また救援チーム等の受入体制や救援活動中に生じる物損や事故等のリスクに対する認識も不足していた。阪神・淡路大震災の経験から国際支援を受入れる可能性は想定されていたものの、実際の受入れは受動的、アドホックなものとなっていた。ア.被災地のニーズを反映した効率的な支援受入れという観点から?災害初期においては、極めて広域での甚大な災害およびインフラの壊滅的な破壊のため、情報の一元化が困難であった。そのため中央政府が支援ニーズを把握できず、また被災状況とニーズのとりまとめを行うべき自治体(庁舎および職員)自らの被災により支援ニーズ把握が十分行えなかった。加えてどのような国際支援を受け入れるかという基準も明確でなかったため、混乱も生じた。?救助チームについては、外交的配慮もあり、様々なレベルのチーム(INSARAG 3では国外派遣が推奨されないレベルのチームも)や、当初は十分な装備・準備のないチーム(自己完結性の不足)も来日した。また小規模編成で来日したため、チームとしての能力が十分発揮されないチームも存在した。?物資については、ニーズに合った物資を受け入れることを最重要視したものの、どの場所でいかなるニーズがあるかを包括的に把握しえなかった。このため支援アピールを出すのではなく、海外からのオファーに基づき個別に自治体の意向を確認するという受動的対応となった。日本側から意思表示が行えなかったため支援の内容はそれぞれの支援国・団体が発案し、結果として多種多様なものとなったが、そのことが受入れ自治体探しに時間を要する原因となったことは否めず、またすべてが生活に必須な物資ばかりではなかった。物資によっては、支援の表明から物資送付までに多大な時間(最長3~4ヵ月)がかかった国もあった。受入れが確定した以降は、事前に受入れ自治体が決められていたため、基本的にスムーズに行われた。?外国軍の受入れについて、事前に政府の統一的な基準はなかったが、米軍は物資の3 International Search and Rescue Advisory Group:国際捜索救助諮問グループ。災害時に海外に派遣され人命救助にあたる捜索救助チームの能力の標準化と調整の強化を目指し、1991年に創立された任意加盟のネットワーク。事務局は国連人道問題調整事務所(OCHA)に置かれており、日本もメンバーとなっている。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6人道研究ジャーナルVol. 3付録, 2014