ブックタイトル人道センタージャーナル第3号 付録(提言書)

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人道センタージャーナル第3号 付録(提言書)

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3 Annex, 2014ゆだねられた6。?物資は受入れ空港到着後、被災地まで輸送する手段(予算措置及び輸送車両)が一元的に用意されておらず7、輸送は基本的に支援国に委ねられた。また、輸送手段が限られていたため、成田等で一時保管が必要な場合もあったが、一時保管施設を確保する責任が、我が国にあるか支援国にあるかが不明確だった。?自衛隊と米軍、豪軍との協働は成果を上げたが、災害対応という面に関しての互いの能力、調整要領等に関する理解は不十分だった。エ.国際支援受入れに伴うリスクに対する認識という観点から?幸いにも大きな事故はなかったが、海外からの人員による救援活動中に生じうる物損(私有財産の損壊等)や、人的損害(医療過誤や日本の基準に合わない治療等)、救援要員の負傷・死亡事故等が万一生じた場合の責任や対応に対する国内関係者の認識が十分であったかは不明。?食品、医薬品など公衆衛生上の基準が定められているものに対し、緊急時にどこまで緩和するかという点に平時から十分な検討がなされたか不明8。オ.日本政府による国際社会への能動的な情報発信という観点から?国連が派遣した国連災害評価調整(UNDAC)チームにより、ほぼ毎日英文で状況6通常、海外からの救助チームは、被災国中央政府の「レスキュー・フェーズ終了」宣言に基づき、活動を終了し、帰国する。7我が国には、災害救助法に基づく災害応急対策経費の国費負担のしくみがあり、災害の規模が大きくなるほど都道府県の費用負担割合は低減するしくみになっている。海外からの支援物資の国内輸送にあたってこの災害救助法の枠組みを利用することは、制度上は可能と思われるが、東日本大震災では適用事例はなかったと思われる。その理由は、災害救助法が、地方分権の原則に則り、市町村の対応力を上回る災害が発生した場合に、都道府県に救助の実務を担わせ、あくまで国は資金面の補助のみを行うという形式を取るのに対して、外国からの支援物資の受入れにあたっては、都道府県を介さずに国と市町村とが直接物資のマッチングを行うことが多かったこと、また、都道府県にも一定の事務手続きの手間とわずかながらも費用負担が発生することから、都道府県が自発的に判断したわけではない外国からの支援物資の受入れにあたって都道府県の負担を求めることが困難だったことが挙げられる。東日本大震災の発生直後、国は、従来の災害救助法の枠組みを超える国主導による救援物資の調達・輸送を行うため、平成22年度予備費として302億円を確保したが、この予備費を海外からの救援物資の国内輸送に活用した事例はごくわずかにとどまった。その理由としては、同予備費が海外からの救援物資の輸送を念頭において確保されたものではなく、実務上、執行期限である平成23年3月末日までに支援申し出国と物資受入れ市町村のマッチングを完了させ、しかも国内出発地(物資の海外からの到着空港等)から到着地(受入れ自治体)までを確定させることが時間的に困難だったこと、加えて、予備費確保時の条件として、被災の大きかった岩手・宮城・福島の三県に向けた物資の調達・輸送にしか利用できなかった(それ以外の県では災害救助法を利用することが前提とされた)ことが挙げられる。8国際赤十字・赤新月社連盟等が推進している国際災害対応法(IDRL:後述)においても、被災国の公衆衛生や環境面での利益は守られなければならない、また医薬品は提供国、受援国双方において認可されたものである必要がある、としている。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8人道研究ジャーナルVol. 3付録, 2014