ブックタイトル人道センタージャーナル第3号 付録(提言書)

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概要

人道センタージャーナル第3号 付録(提言書)

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3 Annex, 2014省庁の担当官用の標準手順書(SOP)を作成する。年に一回、関係者による共同訓練を行う。SOPは、国際的な災害救援のガイドラインを踏まえるとともに、国際支援受入れの意思決定から撤収に至るまでの一連の手続(平時に適用されている法・条例の一時的緩和を含む)と、担当各府省の役割を一元的にまとめる。?救助チームや医療チームといった救援人員の受入れに関しては、総合対応機関が一元的な受入れ決定手順、Virtual OSOCC等を通じた到着日時の確認、到着空港(場合によっては複数)における受入れ出発センター(RDC)の設置、被災地への移動支援、被災地での宿営地の確保、被災現場での現地救援機関との活動調整方法、撤収までの流れを整理し、それぞれのステップの担当機関を記す。特に、捜索・救助チームに関してはINSARAGガイドラインに沿って作成する。?物資の受入れについては、イ.の体制が整備されることを前提に国内物資の輸送、保管、分配に関するSOPを作成する。これと合わせ、避難所や地区単位で迅速にニーズ調査を行うための全国統一のフォーマット20を整備する。これは被災者に対する国内統一最低基準という考え方とも合致するものである(詳細は第2章)。エ.国際支援受入れを前提とした法律面の整備1各国からの救援人員の支援活動に伴う事故に関する法的整理、法整備?支援活動による副次的災害、支援者が受ける事故の双方についての法的整理を行い、必要に応じ法整備を行う。具体的には、国際支援受入れに伴う損害賠償責任(救援人員による傷害・致死及び物損、救助物資による健康・環境被害)、救助人員の2次災害被害や救援活動に伴う負傷・死亡に対する補償に関する法整備や環境整備を行う。基本的には日本国内の支援者に対すると同様の扱いとする(重大な過失以外の救援業務に伴う損害は免責)。また、二国間の条約で定める方法や国際協定による方法も考えられるが、いずれにせよ、INSARAG(前述)の枠組に基づく救助隊の派遣にあたっても今のところ一般化されたルールは存在しない21ことから、国際社会とともにルール化の議論に積極的に参加する。2特例法令に関する準備、法令未満のマニュアルの整備?災害発生後の応急対応期に、平時とは異なる法の適用を可能とするため、あらかじめ法律や政省令に例外規定を設けておくことは有効であり、これは、国際赤十字・20国連人道援助機関では、被災者の人数、性別、年齢等により、必要な水、食料、テント等の量を集計・計算するフォーマットが存在する。21先進国における救助チームや医療チームの受入れのあり方については、他の先進国における動向も十分考慮が必要である。特に、ハリケーン・カトリーナ災害時の国際支援の受入れを教訓に、米国FEMA・国務省・連邦援助庁(USAID)が2010年に合同でまとめた報告書(『国際支援システム』)では、「人的支援については、補償、賠償等の問題があるため最終手段(last resort)とすべき」としている点が注目される。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・人道研究ジャーナルVol. 3付録, 2014 15