ブックタイトル人道センタージャーナル第3号 付録(提言書)

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概要

人道センタージャーナル第3号 付録(提言書)

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3 Annex, 2014第2部国際的に有効な知見の適用2-1.国際基準を踏まえた国内統一最低基準の設置と適用1.提言の背景(1)提言の目的・理由?東日本大震災は様々な想定を超える大規模広域災害であり、多くの死傷者が発生したことに加え、幸い無事だった被災者についても長期にわたる避難生活を余儀なくされた。特に発災直後の一時避難段階から仮設住宅完成後の復旧に到るまでの期間、避難所等における物質的条件と心理的要因から、多くの生存者がその後その生命を脅かされ尊厳が著しく損なわれる(またはその恐れのある)事態に直面した。?例えば、食糧配給の内容や実施法、避難所におけるプライバシー欠如や安全面での懸念、給水・仮設トイレ等の設置条件、慢性疾患等への保健医療サービス等についての問題が指摘されている。特に、性別、性別自認、年齢、障がいの有無、国籍や母語の違い、家族構成や就労状況によって必要とされる支援が異なるものの、十分な対応がなされなかった。?こうした問題の多くは、その時点で確保できた資源をどう「公平に」分配するかという場当たり的な対応ではなく、支援を必要とする人々のニーズに応えて、少なくともこれだけは必ず提供するという、言わば「我が国としての全国統一最低基準」という発想が導入され、支援者が組織的対応をする、あるいはこれを可能とするような相応の備えが為されていれば防げた可能性が高い。また、多様なニーズ把握についても、比較・集計が可能な統一的フォーマットや手法が用いられていれば、為されるべき支援の最低基準と対照させることで、より包括的かつ組織的な支援提供や優先順位付けの根拠を確かなものに出来たと考えられる。?事実、国際緊急支援の現場では、こうした考え方からいわゆる国際最低基準がすでに確立し実践されてきている。またその背景として、主に発展途上国を対象とした緊急人道支援が、効果的・効率的そして人道原則や関連する国際規範に沿ったかたちで提供されることを担保すべく、こうした国際基準が発展してきたという経緯がある。そして日本は国際支援におけるドナーとして、海外での緊急人道支援活動を支援するに際して、国連・NGO等にこうした国際最低基準の遵守を求める立場にもある。?他方、災害対策基本法上も含め、日本の行政による現行の防災政策・制度では、この最低基準の確保という発想がかならずしも明確に取り入れられておらず、これに付随する説明責任も不明確のままである。特に、日本の災害対応は通常地方自治体が主たる役割を担っており、地方の現場レベルでは、こうした国際最低基準に対するなじみがなく、また、国際最低基準をそのまま適用するよう求めることについて、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・人道研究ジャーナルVol. 3付録, 2014 19