ブックタイトル人道センタージャーナル第3号 付録(提言書)

ページ
54/66

このページは 人道センタージャーナル第3号 付録(提言書) の電子ブックに掲載されている54ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

人道センタージャーナル第3号 付録(提言書)

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3 Annex, 2014基盤アプローチにおける支援者・外部者が緊急時に果たすべき役割としては「早急な対処が必要な問題に対し直接かつ暫定的な支援を行う」ことが求められている。この延長として、災害時緊急人道支援の場面で適用されているのが、国際的に確立された保護「プロテクション」というアプローチである。IASC(機関間常設委員会)は「国際人道・人権・難民法を含む国際法に沿って年齢・ジェンダー・社会・エスニック・国籍・宗教そのほかの背景に関わらず全ての個人の権利が十分尊重されることを目的とした諸活動」と定義しており、この概念に基づいて保護を実現するための諸活動が国連人道機関及び他のIASC構成員等によって進められている。IASCの定義に従えば、実現されるべき保護は単に物理的な安全の確保に限らず、生きる権利、拷問や性別とジェンダーに基づく暴力からの自由、移動の自由、食糧・水・医療・教育などの人道支援を享受する権利、そして財産・居住権などを含む広範な権利の充足を意味する。したがって、保護を実現するための国際人道機関による諸活動は、国際人道支援活動の中核をなす。様々な国連人道機関や国際赤十字等が保護に関するマンデートを持ち各専門分野での保護活動を具体的に展開している。例えば、難民/国内避難民の登録作業や、誘拐対策にバラバラになった家族の追跡と再統合支援、性暴力/搾取被害者のフォローアップ、避難民キャンプ設営者や軍関係者へのトレーニング、深刻な法令違反や人権侵害が発生した時の抗議等、さまざまな具体的活動が保護のためのプログラムとして実施されている。同時に、例えば食糧・水等の配給場所や方法を、女性が嫌がらせや暴力の標的とならないよう工夫することなども保護の実現に不可欠であることから、保護の視点を反映させることは各セクターに共通する課題でもある。加えて、一時的な保護の実現のみならず、恒久的解決(Durable Solution)のための努力が必要である。人々にとっての「プロテクション・リスク」を低減させるためには、人権侵害の予防・停止に取り組み、もしくはすでに侵害が発生した場合はその即座の影響を緩和すること(Responsive)、被害者の尊厳を取り戻し回復するための支援をすること(Remedial)そしてより権利が尊重されるよう、社会・文化・制度及び法的環境を整備すること(Environmental building)が必要とされている。権利基盤アプローチにおける外部者の役割は大きく分けて以下の4つに分類できる。1権利を守る地域社会の能力を強化し、権利保有者による権利の要求を側面支援する。2権利を守る制度を強化し、義務履行者による義務の履行を側面支援する。3状況に応じて直接、暫定的な支援を行う。4差別の克服に取り組み、すべての当事者に権利が保障されるように努める。「CSO開発効果にかかるイスタンブール原則」のなかで、権利基盤アプローチは最初の原則として扱われており、CSO (Civil Society Organization)にとっても最も大切な行・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40人道研究ジャーナルVol. 3付録, 2014