ブックタイトル人道センタージャーナル第3号 付録(提言書)

ページ
57/66

このページは 人道センタージャーナル第3号 付録(提言書) の電子ブックに掲載されている57ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

人道センタージャーナル第3号 付録(提言書)

The Journal of Humanitarian Studies Vol. 3 Annex, 20144.子ども関連(1)子ども自身による災害関連情報へのアクセスの不足・欠如子どもが「おとなに保護されるべき存在」としてしか認識されていないため、災害に関する情報はおとなによって独占的に管理される。その結果、子どもは、何が起こっているのか、なぜ今そのような行動をすることが必要なのか理解できず、不安感・無力感に陥る。また、最短かつ安全な避難経路などについて、子どもの方がよくわかっている場合でも、子どもの意見が聞かれず、結果的に被災リスクを増やす結果につながる場合もある。(2)子ども特有のニーズへの理解の不足子どもには被災時において、おとなとは異なる特有のニーズがあるが、そのことが理解されていない。一例としては避難所における、子どもが安心して遊べるスペースや時間の確保が挙げられる。もう一つ、被災時における子ども特有の優先度の高いニーズに「教育を中断させないこと」があるが、スフィア・プロジェクトに「教育」は含まれていない。5.高齢者や障がい者などを含む災害時要援護者関連東日本大震災時における障がい者の被災状況について、国連国際防災戦略事務局(UNISDR)は日本障がいフォーラム(JDF)等の関連パートナーからの情報に基づき、障がい者の死亡率がそうでない人口のおおむね2倍に及んでいると報告している(またNHK「福祉ネットワーク」取材班が東北三県の27被災市町村を対象に行った調査によれば、総人口に対する死亡率が1.03%であったのに対し、障がい者の死亡率が2.06%)。障がい者については、避難時における物理的な困難に加え、視聴覚障がい者等は支援に関する情報にアクセスしづらいこと、また、支援配布の中心となる集合的避難所でなく自宅で避難生活を続ける人々が多くいたこと、災害前に特定のサポートグループに属していない場合などが教訓として挙げられ、個人情報保護の観点からの制約も指摘がなされている。また高齢者について、2011年度防災白書によれば、被災3県の60歳以上人口の割合が約31%であるのに対し、60歳以上が死亡者数に占める割合が65%であった。いずれの場合もこうした被災者が災害時極めて脆弱な状況に置かれることを示すとともに、多様なニーズに迅速かつ的確に対応する必要性をあらためて裏付けるものである。災害時要援護者に関しては、内閣府(防災)が災害時要支援者の避難行動支援に関する取組指針を発表している(2013年8月)。この中で、「避難行動要支援者に係る全体的な考え方を整理し、重要事項については、防災計画に定めるとともに、細目的な部分も・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・人道研究ジャーナルVol. 3付録, 2014 43