ブックタイトルThe Journal of Humanitarian Studies

概要

The Journal of Humanitarian Studies

Journal of Humanitarian Studies Vol. 4, 2015相互に強化される輪が生まれるのです。武装集団との対話について教えてください。国際人道法を遵守するよう、どのようにして働きかけるのですか？全ての武器携帯者と話すことがICRCの基本です。「話し合い」は、単に援助を行うためにアクセスや安全の確保を交渉するだけではありません。それは、議論をより明確なものにしたり、重要な価値や基準を広めたり、彼らの行動に影響をおよぼすことも目的とします。このように予防的かつ教育的な対話を行うにあたって、どのようにアプローチするかじっくり考えることが重要です。例えば、学校の先生のように振る舞うことは避けるべきです。その代わり、対話をどのように開始し、どのような論点を使用できるか予測して挑みます。武装集団に働きかけ、彼らの行動に影響をおよぼすためには、同じ議論を何回か繰り返し、最終的に私たちが正解か、彼らの判断に任せることが有効であると考えていたときも一時期ありました。しかし、この対話はそのような方法ではうまくいきません。武装集団のことを理解し、彼らが何を考えているのか、課題は何なのかを認識し、それに合わせて、私たちの価値や基準、関心を変えずに主張を対応させなければ、対話は成功しないのです。これは手法と実践の話になってしまうため、私自身すぐに回答することはできませんが、さらなる改善が必要な分野の一つであると認識しています。国際人道法における今日の主要な課題は何ですか？直近の赤十字国際会議で私たちに与えられた任務と現在進行中の活動に加えて、実情に見合った対応の必要性が浮上しています。紛争の性質や形が変化し、紛争に参加する集団も変化しきており、武装集団同士が実際に闘う戦場も、新技術の導入や、今日の紛争の国境を超える性質によって変化しています。これは先程も述べた、国際人道法、組織の活動、人道外交の相互関係に似ています。新たな課題が登場する度に、人道法の解釈や発展という形で注意深く対応しなければなりません。現代の紛争に当てはまる規範を明確にするという点で、継続的な努力が必要です。今後も、国家と武装集団の紛争が続くとすれば、軍事能力が均等である国軍同士の戦いを想定した既存の規範を明確にする必要があるでしょう。優先事項の一つは、法の課題を学問の抽象的な問題として捉えずに、現場で浮上する保護や関与のニーズに注意を払うことです。ICRCは、武装集団や軍の司令官に、予防的な措置、軍事成果と民間へのダメージのバランス、戦闘の際の標的などに関して、いかに義務を遵守すべきか聞かれたら、的確に返答できなければなりません。20ページに及ぶ法律家の意見はICRCの狭義の発展のためには必要ですが、このような状況においては役に立ちません。国際人道法の遵守がなぜ法的、道徳的、専門的に意味を成すのか、わかりやすい言葉で言い換えられるようにしておく必要があります。シリア、2014年シリア・アラブ赤新月社のボランティアと。cIbrahim Malla/ICRC人道研究ジャーナルVol. 4, 20159