ブックタイトルThe Journal of Humanitarian Studies
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The Journal of Humanitarian Studies
Journal of Humanitarian Studies Vol. 4, 2015三根さんは藤森社長に同行して、皇后陛下にご報告なさっていますよね。東浦:皇后陛下へのご報告の前に、出展の準備がいつ頃から始まったのかをまず、明らかにしましょう。私がまだジュネーブにいた頃に、日本赤十字社から、過去の万博、セビリア、リスボン、ハノーヴァーで、赤十字がどう関わったのかという照会が来たことを記憶しています。私が知っている限りでは、例えば、セビリアでは金をかけ過ぎて、スペイン赤十字社長の更迭にまでいたったというようなことなど、お伝えしたと記憶しています、2002年3月に帰国ですから、それ以前に話が出ていたんですね。三根:2001(平成13)年に、僕は日本赤十字社医療センターから本社の企画広報室に戻ってきたときに、もうリスボンのいろんな書類が一式、前任者の小形正明さんから引き渡されたんです。私が万博というものに接した最初だったんですね。セビリア万博、リスボン万博、ハノーヴァー万博かの万博に関する資料がその中に全部ありました。だから、それ以前からですね。井上:開会4年以前にそういう話がもうあったんですね。三根:藤森社長からですね、万博出展の必要性についてものすごく熱っぽく語られた言葉を今でも覚えているんですけれども、ちょっと整理しましたんで読ませていただくと、今の殺伐とした社会情勢の中で、心の問題、とりわけ奉仕の心という原点を呼び覚ますことが赤十字運動を広めていく上で不可欠な要素だって社長がおっしゃるんですね。日本赤十字社は、その社法に基づいて社員をもって組織されている。言い換えれば、赤十字は人道という赤十字の思想に共鳴して、その事業を前進させるために資金面で継続的に協力する意思を持つ社員によって、成り立っているんだ。だけども、最近の統計では1,700万人と言われる赤十字の社員、このような意思とは関係なく、ただ数としてのみの人が多数存在するという実態がある。藤森社長がそうおっしゃっているんですね。赤十字の原点を忘れて漫然と、資金さえ集まればいいとする風潮の裏返しでもあるんじゃないかと、こうおっしゃるんです。その状況を放置すれば赤十字の運動は衰退の一途をたどるであろう。形がい化しつつある社員制度を本来の社員制度へ再構築しなきゃいけないんじゃないかということで、社員制度の観点から万博をやっていこうじゃないかという視点なんですね。たとえ、それによって社員の数が今の半分になっても、もう一度多くの人々の心に、人道という火を灯して、自発的に真に赤十字を応援してくれる人々の参加を地道に求めていきたい。それには万博から生まれた赤十字が、今こそ愛知万博という場を借りて、多くの人々の心に赤十字運動への理解と共感を再び呼び覚ます絶好の機会だと社長はおっしゃいます。129年前の創設時と何ら変わっていない赤十字の大切なものを、来館された方にしっかりと伝えていきたいというのが社長のご意思でした。これは、2002(平成14)年の5月に社長室で直接、藤森社長からお伺いをした言葉です。ですから、出発はやっぱり皆さんにお分かりいただいて、本当にご理解いただく社員という方を増やしていこうじゃないかというのが、愛知万博をやろうといった社長のご指示でした。皇后陛下のご報告の問題ですが、実は前の年か112人道研究ジャーナルVol. 4, 2015