ブックタイトルThe Journal of Humanitarian Studies
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The Journal of Humanitarian Studies
Journal of Humanitarian Studies Vol. 4, 2015と、いろんな観点から見たときに、非常シンプルなものが見えてきた。要するに、病気だとか戦争だとか、災害だとか、普段ちゃんとしたレベルにあるものが何かのことでへこむ。へこんだら、さっとそのへこみを埋めにきてくれるのが赤十字だというところに行き着いたんですよ。そうすると、そこだけを分かってもらえれば、多分みんな何か感じてくれるんじゃないかって。自分の中で結構整理された。井上:「へこみ」を埋めるのが赤十字ってよく言ってましたよね。洪:そうです。「へこみを埋める赤十字」という、その単純な言葉を自分にテーマとして思い込ませた。そういう目で見ても確かにずれてないな、ぶれてないなと感じられたので、自分なりの整理となったんです。二つ目の整理は、まさにジュネーブのミュージアムなんですね。形にしなければいけない立場で、デザインとか空間だとか演出だとか、それをどういうふうにすればいいんだろうかって、やっぱり迷うわけです。そんな時、赤十字のジュネーブで見たミュージアムが、ものすごく自分の持っているイメージに近かったんです。三根:そうおっしゃっていましたね。洪:ええ。逆にそれが迷いの一つになったのですが、何か似ちゃっていいんだろうかって。だけど、そこで自分の目が開かれたのは、「この続きをやろう!」と思った時だったんです。三根:なるほどね、そういうことですね。洪:あれは世界大戦の話が多かった。それから、日本のお手本になったのも国際赤十字だと。じゃあ、日赤がこれからやるには、これに引き続く、その精神も継承しながら引き続くものになればいいと。これはお兄さん役かもしれないと、考えた訳です。続きをやるのだったらこの雰囲気を見せるべきだって勝手に思ったんです。それが二つ目の整洪氏理です。なので、あの雰囲気をなるべく踏襲する。井上:そう言っていましたね。パートツーみたいな、全く違うものじゃなくてね。洪:ええ。そのようにするとね、デザインも、これは正しいし、これは違うとかっていう、その仕分けが容易にできるようになりました。三根:ちょっと言葉を挟んで申し訳ないんですけれど、今、田島さんがおっしゃったことが、まず原点であったんですね、プロジェクトチームで。愛知万博の全体のテーマが「自然の叡智」ということだったんですよ。それにどうやって合わせていこうかということを盛んにプロジェクトチームの中では模索したんですね。そうすると、いろんなぐずぐず言う、赤十字とは何ぞやというのはもうやめてしまって、もう自然の驚異だとか、悲しみだとか、不安だとか、そういうものに赤十字がどうやって挑戦してきたかということをやろうじゃないかというのが、チームで大体まとまってきた。それで今おっしゃったようなことにつながっていくんじゃないかと、どうでしょうか。田島:三根さんね、そこでなんですけれど、もうあんまり赤十字、赤十字って言うのはよそうよということを社の上の人たちに説明できたの?(笑)井上:今、田島さんがおっしゃったそこが問題ですよね。田島:つまりそれが問題だね。人道研究ジャーナルVol. 4, 2015115