ブックタイトルThe Journal of Humanitarian Studies
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The Journal of Humanitarian Studies
Journal of Humanitarian Studies Vol. 4, 2015いけない。そういうことを使ってお金を集めたりということは絶対やらないんだというようなことが一番最後の条文の中にあるんです。だからそういうことが映像の中に出てくるとまずいなというようなことについてはお話ししたことはあるんです。田島:あの画面はね、途中に入っていたんですね。渡辺:入っていましたですね。田島:それで、私ね、あの画面にすごい引かれたのね、自分で、感覚的に、あそこで流してしまってはもったいないと思ったの。あそこに出てくるの。もっと鮮烈に、もっと際立って多くの人に目を凝らして見てもらったほうがいいと思う画面だと思ったの。それを最後に持ってきたほうが、僕は、未来に希望を持ってる。かわいそうなんて思わなかったの。井上:あれは、まさにそうでしたね。渡辺:あの子どもがね、未来の象徴なんですよね。田島:うん、すごく未来、希望というものを表現している。井上:親子のいい関係が描かれていますよね。田島:それで、渡辺さんに、お願いしたのかな。井上:そうです、そのほうがいいんじゃないかっていう。洪:あれは確かね、4コマ前ぐらいに入っていたのを。渡辺:そうです。洪:だから一番最後に持ってこようという。井上:もう一つ議論したのがあったでしょう、記憶にありますか?あの少年が射殺されるシーン。田島:ああ、ありますね。井上:これはどぎついんじゃないかとか議論もあった。ただ、ありのままの現実を見てもらって、最終的には見る側の判断に委ねようという決断だったかと思いますが。あのシーンで一つ井上氏だけ、僕はクレームを受けたんですよ、会場で。ドイツ人の親子が来ていたんですね。で、見た後、お父さんのほうが、「僕は一瞬、子どもの目をふさいだよ」と。ヨーロッパでは普通こういう映像を出すときは、数秒前に警告が流れるのに、ここにはなくていきなり出たと。「わたしは父親としてこれは問題だと思う」とドイツ人が言ってきたんです。「申し訳ございません」と謝罪しました、そういう反応は1件だけありましたね。ただ、そのドイツ人が最後に言ったの、「とてもいい映像だった。良かった。」「でも、あの1点だけが、僕はちょっと気になったよ」と。でも、そういう反応もある意味で折り込みだったんですけれどね。洪:だから、太いところの背骨のメッセージが、人道って何だろう、というところとものすごく真剣に向き合っているものだから、ちゃらちゃらしていたり、あるいは何かの話題性だけとか、コマーシャルっぽいとか、何か浮ついたところのものを扱っていなかったからなんだと思うんです。田島:うん、おっしゃるとおりね。洪:このメッセージを伝えるにはどうしてもあのシーンが必要だった。言い過ぎかもしれないけれども、そういう部分もあったんじゃないかと。だから、真剣に考えられるっていうところがあったんじゃないかと思います。東浦:私は、ジュネーブの赤十字博物館、今変人道研究ジャーナルVol. 4, 2015125