ブックタイトルThe Journal of Humanitarian Studies

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概要

The Journal of Humanitarian Studies

Journal of Humanitarian Studies Vol. 4, 2015わってしまったんですけれども、展示の一番最後のところは飯場の階段みたいになっている。まだ赤十字が終わったものじゃなくて、これから進むんですよと。これからのことがいっぱいあるんですよということを示している。その辺のこともお話ししたつもりがあるんですけれども、あの映像というのはそういうことも表しているのかなという感じを受けたのですけれどもね。今見てみてもそういうふうに思うんですけれども。それと希望があるなと。そこのところが救いとしてあるなという感じもするんですね。洪:それと、またお母さんとはしっかり生きていくみたいな頼もしさというのはありましたね。三根:「朝日新聞」3の1面の一番最後に、統括マネジャーの山崎藍子さんが、開幕3週間後、シアターを出た臨月の女性が、壁にもたれて泣き続ける姿を見たと書いてありますね。「母になる人は命を感じる力が大きいのでしょう、忘れられない光景でした」というのをインタビューで答えているんですよ。まさにそうなんですよね。井上:今度母になりますから。三根:ああ、そうか、そうか。やっぱり母になる人は、ものすごく感受性が強くなって、ああいう映像を見て、もう泣き崩れていたんだね。それと、若いちゃらちゃらした17~18才ぐらいの男の子が3人入ってきて、「何だよ、赤十字なんか面白くねえな」なんて言いながらシアターに入って、その7分間の見た後ですね、出てこないんだもの。それで、僕は追い出さなきゃいけない。(笑)次の組を入れなければいけないから。そうしたらね、泣いているんですよ、そのちゃらちゃら3編集者注朝日新聞名古屋本社版2005年5月11日夕刊の1面トップ記事「世界の苦しみ静かな人並み万博赤十字・赤新月館戦争や饑餓来館者感想1日200枚」(六郷孝也記者)参照した男たちが。「みっともなくて出ていけねえよ、ちょっと待ってくれよ」と言っているのがものすごい印象的だったですね。あの子ども、まさにもう不良学生みたいなのが、涙が止まらないと言ってね。「俺、みっともねえよ、これで、明るいところへ出ていけないよ」って言っていたのがものすごい印象的だった。井上:愛知県内の小中学校は社会学習の一環で万博に来てたんですね、あの時期。朝、何か見た子がまた来ているんです。中学生の3人組が。「あれ、君たち、朝も来ていなかった?」と声かけたら、「はい。今日4回目です」とか言ってましたね。渡辺:うん、私もそう、その子たちだと思いますけれど、話ししました。井上:ええ。だから、そういう子がいたんですね。若い子でも4回来たって。もう帰らなければいけないんで、「最後にもう一回見たいね」といって友達と来たと…。嬉しかったですね。渡辺:パビリオンを出てすぐにまた並ぶんですよね。井上:そうそう、ジャージーを着ている子でね。いたですね。三根:1年後か何かの、新聞の投書欄に、「あのシアターは、どこへ行けば見られるんですか」って書いてあったのがあったね。渡辺:ああ、うん。三根:あれもものすごい印象的だったですね。いつもどこかで見られるんじゃないかという。田島:三根さん、あの映像ね、音楽。あれ、藤森さん、何か感想を言っていました?聞いていない?三根:いや、「すばらしいね」という程度で。ただ閉館した後に、藤森さんが私の両手を握って「大成功だったね」とねぎらいの言葉をかけてくださった。僕は、あの音楽を、スタッフの連中はもう朝から晩まで聴いているわけですよ。帰りに車の中でかけてくれって。あれだけ126人道研究ジャーナルVol. 4, 2015