ブックタイトルThe Journal of Humanitarian Studies
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The Journal of Humanitarian Studies
Journal of Humanitarian Studies Vol. 4, 20151論説人道の探求?国際人道法と人道支援活動の150年?ヴィンセント・ベルナルド2150年前、国際的な連帯の新時代の到来を告げる考えが実行に移されました。1863年の赤十字国際委員会(ICRC)の設立と、翌年のジュネーブ第一条約の締結は、近代の国際人道法および人道的支援活動の誕生を意味するものでした。ICRCは国際赤十字・赤新月運動と呼ばれるパートナーとともに、シリアやアフガニスタン、コンゴ民主共和国、コロンビアなどの武力紛争とその他暴力の伴う事態によって犠牲を強いられる人々に必要cICRCな援助を提供しています。ICRCでは1万3,000人以上の職員が80を超える国と地域で活動しており、法律、アドボカシー、工学、戦傷者外科治療、衛生、物流など、広範囲の専門知識が集結しています。ICRCは、メディアを騒がせる人道危機においてだけではなく、今日忘れ去られているようなものにおいても、人道支援・保護活動を行います。また、長年の活動でその有効性が実証されてきた原則や方法を使用し続けると同時に、変化する紛争や暴力の現実に合わせ、新しく実用的な対応も行っています。150年にわたって人道セクターは漸進的な発達を遂げてきました。今日の人道セクターは、国際赤十字・赤新月運動に加えて、官民のドナーから支援を受ける何百もの非政府組織(NGO)と国際機関によって構成されています。また、従来欧米諸国が中心となって行われてきた活動は、ますます多様かつ多極的なものになっています。ICRCはこれまで、近代における全ての紛争に携わり、最も過酷な環境でも独自の活動を継続的に、時には頑なに行ってきました。ここで生まれる疑問は、なぜICRCがそこまで長期的な活動を続けることができているのかということでしょう。ICRCが時の試練に耐えることができたその理由は、いったい何なのでしょうか。また、その人道的な取り組みはどのように発展してきたのでしょうか。国際社会における重要なアクターから、ICRCの役割はどのように捉えられているのでしょうか。そして、ICRCは自身の歴史から何を学び、その将来的な活動に活かすことができるのでしょうか。以上のような疑問に答えるべく、この「International Review of the Red Cross」の記念号は執筆されました。この論説では第一に、ICRCおよび国際赤十字・赤新月運動が設立された当時の世界情勢を振り1この原文は、International Review of the Red Cross. Volume 94, Winter 2012, No. 888, pp1195-1207に掲載されている。電子版:https://www.icrc.org/eng/assets/files/review/2013/irrc-888-editorial.pdf2フランス出身。大学講師を経て1998年よりICRCに勤務。セネガルの西アフリカ地域代表部、ケニアの東アフリカ地域代表部、イスラエルやジュネーブ本部での勤務を経て、2010年10月よりThe International Review of the Red Crossの編集長を務める。2013年よりICRC法律局対外窓口の責任者も兼任している。人道研究ジャーナルVol. 4, 201511