ブックタイトルThe Journal of Humanitarian Studies
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The Journal of Humanitarian Studies
Journal of Humanitarian Studies Vol. 4, 2015思うんです。だから、施設をつくる立場としては、これだけ雑音がないというか、ピュアな純粋なものをやらせてもらえたということが、本当に自分としてもすごい経験だったし、このクリエイターとしてもすごくよい経験になったと思います。だから、このようなことを知っているかどうかって、やっぱり大きいと思うんですね。東浦:新人教育だとかそういうことにもこのパビリオンで何かやられていると。洪:使わせてもらっています。れわれの生業は、空間というメディアを使ってどういうメッセージを伝えるのかということにとり組んでいます。今回はかなりの難しい内容だったけれども、それを純粋にやると、こういうことが起こるという結果を示したプロジェクトでした。これはノウハウというよりも好事例として、もう本当にお手本的な作品だったと思っているんですね。例えば企業を相手にすると、企業の中も組織があって、赤十字さんの中にもいろんな方がいらっしゃるように、その中でもやっぱり言うことは違っていたりするから、そんな簡単にこうだと決め切れて、それを純粋にできる場合というのはすごく少ないとは思うんですが。ただ、人道という内容はちゃんと伝えれば、誰もが感じてもらえるし、さっきのボランティアさんも、一回その映像を見れば何をすれば分かるかというように、そういう雑音のなさだと思うし、不純物のなさなんじゃないかなと。だから、それがやり切れたというのは、やっぱり奇跡に近いのではと思いましたし、本当にいい勉強だったと思います。そんな事例としてプロセスの紹介も含めて教育に使わせていただいています。東浦:渡辺さん、どうですか。渡辺:映像という意味では、「タガタメ」を使うことを、オーケーを頂いてからはもう何の迷いもなかったので。といいますのは、やはりジュネーブからお借りしてきた素材がものすごく強い。一枚一枚の写真が本当にリアルですから。本当に強いわけですよね。だから、それをどういうふうに組み立てるかだけで、それはもう専門領域なので、変な話、得意とする分野ですから、そこには何の迷いもなかったですね。あとはもう丁寧にやる、妥協しないで丁寧にやるっていうだけでしたから、それほど映像製作としては、迷いはなかったですね。ただ「タガタメ」を使ってもいいよというのを、あの会議の席でオーケーを頂くまでが、時間がかかったような気がします(笑)。洪:今、渡辺さんが言われたことに関してですが、私が施設を企画したり、物をつくっていくときによく使う言葉で「物差し」という言葉があります。要するに、その企画とか、その制作において尺度になるものです。その物差しが見えると、これは合っているし、これは違うとかという、判断基準になるんです。ここまで純粋な物差しというものはないんじゃないかと。それは運営の人の物差しも、多分これは企画する、あるいは映像制作する、みんな同じ物差しが見えたのだと思うんです。東浦:一体感が生まれたという感じですかね。洪:ええ、はい。だから、まさに一枚岩となってみんなが同じ方向を向いた、とい実感が生まれました。このようなことはめったにないんじゃないかなと思います。渡辺:本当にめったにないと思いますよ。普通ですと、映像制作って私たちの仕事ですから、納品して、パビリオンがオープンして、初日、2日目ぐらいまではお客様の反応を見たいですから立ち会いますけれども、それで基本は、仕事は終わるんですね。それが、なぜかこのケースの場合は、私たちも何度も何度もボランティアにはせ参じた(笑)。洪:自分も何かしたい、何かしなければ、って。渡辺:はい、会期中、一体何度通ったことか。われわれの仕事はもう終わっているのに、お手人道研究ジャーナルVol. 4, 2015137