ブックタイトルThe Journal of Humanitarian Studies
- ページ
- 19/286
このページは The Journal of Humanitarian Studies の電子ブックに掲載されている19ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは The Journal of Humanitarian Studies の電子ブックに掲載されている19ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
The Journal of Humanitarian Studies
Journal of Humanitarian Studies Vol. 4, 2015政府からの圧力を受けたり、総合的な国際人道活動の一部になることを要求されたりする中で、国際赤十字・赤新月運動はその基本原則に基づいた団結を保持しなければなりません。今日の複雑な人道的ニーズに応えるために、ICRCは国際赤十字・赤新月運動とのパートナーシップ精神を継続し、発展することが必要となります。過去の経験にもとづく学び150周年を迎え、ICRCは過去の経験を振り返ることに力を注いでいます。赤十字の歴史は非常に充実したものであり、今日の課題に対応するための創造的な解決策がその歴史の中から発見されることもあります。自身の歴史や現代の活動を批判的に評価することは良い動きです。振り返りの過程を通じて、組織の長所が短所となることもあります。例えば、明確なマンデートは集中的な活動につながりますが、その限定された解釈によって、組織は究極の人道的な目標を見失ってしまう可能性があります。実際、このような現象は過去に観察されていました。第二次世界大戦時、ナチスによって犠牲になったユダヤ教徒およびその他民間人を保護することができなかったICRCは、「規範の羅針盤を失っていた」とICRC総裁ピーター・マウラーは述べています(23)。■今日の課題150周年を迎えたICRCは、設立された当時の世界と大きく異なる世界に直面しています。無論、1860年代と同様に、科学・技術的進歩、社会的関係の変化、新たな地域的大国の登場、暴力や紛争の性質の変化など、今日の世界は大転換期を迎えています(24)。しかし、頻発する人道的課題がありながらも、紛争の現実は変化し続けており、ICRCも新たな課題に直面しているのです。例えば、世間からの詮索が厳しくなり、ドナーの要求が高まり、組織および広義の人道セクターが発展する中で、プロフェッショナル化への動きが求められています。このプロフェッショナル化への動きは、人道的なマンデートに反映されなければなりません。これは企業活動への癒着ではなく、そのマンデートの実現における効率性やイノベーションによって評価されます。人道危機の頻発と複雑性新たな課題の出現に加えて、人道危機の「予測不可能性」は予測可能であり続けています。人道セクターの歴史において、迅速な対応への準備、新たな人道的課題への継続的な適応、過去の失敗からの学び、そして自身の信念や行動に対する批判的な評価は、常に必要とされてきました。1862年には既にアンリー・デュナンは以下のように述べています:「予期せぬ驚きが重要性を持つこの世の中では、戦争は最も突然かつ予想外な形で発生するのではないでしょうか。そして、このような懸念がある限り、予期せぬ事態に対する予防策を取るべきではないのでしょうか」(25)人道支援組織にとって、人道危機の数の増加、および期間の長期化、そして影響を受ける人々のニーズの複雑化が新たな課題となっています。例えば、気候変動は大規模災害の頻発を引き起こす可能性があり、それは特に、人口密度が増加し続ける都市部に甚大な影響を及ぼします。また、拡大する格差は不正義や暴力の原因となり続け、国家による抑圧はより多くの国内危機や暴力につながります。武力紛争と自然災害の両方の影響を受ける国々では、経済的、政治的そして環境人道研究ジャーナルVol. 4, 201517