ブックタイトルThe Journal of Humanitarian Studies
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The Journal of Humanitarian Studies
Journal of Humanitarian Studies Vol. 4, 2015的な危機が組み合わさり、壊滅的な結果を引き起こします。アクセスと容認人道的なニーズが増える中、紛争や暴力の影響を受ける被害者へのアクセスは大きな課題として残ります。一方で、国際的な人道活動を軍事的、政治的アジェンダの下位に置く試みがあり、国家が人道支援活動を断定的に管理する傾向がみられます。他方で、人道支援組織は非国家武装集団と直接やりとりを行わなければなりません。現代の紛争においてこのような武装集団はますます細分化しており、彼らとの対談がより複雑なものとなっています。植民地独立後の文脈、そして今日における宗教急進化の風潮の中では、中核となる人道的な価値の普遍性が政府や武装集団のみならず、人々からも疑問視されています。これらの価値は重要な概念として捉えられるだけではなく、拒否されることもあるのです。人々に価値を受け入れてもらうために、ICRCはどのような人にも選ばれるパートナーとならなければいけません。クローディア・マクゴールドリックは以下のように説明します(26)。「欧米の学問が考案する『普遍的』な原則と技術的な解決策を強制することは、ますます激しい抵抗に遭うでしょう。現地当局と影響を受けたコミュニティとのより良い対談に加えて、制度化された解決策ではなく原則に基づいた解決策を促すことが必要となります」増加するニーズとアクセスの不足に直面する人道支援組織にとっての最大の不満は、現代においては19世紀と異なり、政治的な意志さえあれば支援を必要とする人々に届ける医療および技術的解決策があるということです。しかし、グローバル・ガバナンスが欠如しており、地域的な権力がその隙間をまだ埋めることができていない状況では、紛争を解決および予防するよりも、封じ込めることが重要視される傾向があります。人道支援活動は、信頼性のある政治的な解決策が存在しない中で不釣り合いな注目を集めており、それが人道支援組織に大きなプレッシャーを与えています。国際人道法の課題国際人道法における法的な保護手段や執行機関は発展し続けてきましたが、いまだ多数の文脈で、それは順守されていません。特に近年ICRCが世界に呼び掛けているのは、医療従事者、設備および施設の尊重が損なわれている問題です。この問題は、紛争や暴力の影響を被る人々の健康にも悲惨な結果をもたらします(27)。悲しいことに、ソルフェリーノの戦いの時と変わらず、傷病者の保護・治療が人道および法的懸念の中心となっているのです。Review誌は次号をこの問題に捧げます。ICRCにとって、現代における法の発展にまつわる主な関心は、非国家間の武力紛争で自由を剥奪された人々をいかに保護し、そして、国際人道法の順守に関するメカニズムの有効性をいかに拡張・保障するか、という点です(28)。ICRCは国際人道法に関する知識を広め、それを国内法や軍事訓練、市民教育に取り入れる活動を行っています。そして現代において、この活動はかつてないほどに必要とされています(29)。戦闘員の行為を効果的に改めるためには、現場での活動と、その活動に対する省察が特に重要となります。また、新しい技術は、軍事的能力を増大させるだけではなく、国際人道法に関する予防18人道研究ジャーナルVol. 4, 2015