ブックタイトルThe Journal of Humanitarian Studies
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The Journal of Humanitarian Studies
Journal of Humanitarian Studies Vol. 4, 2015活動に質的な変化をもたらします。例えば、オンライン訓練や軍事的なバーチャル・シミュレーターの利用は、教育および訓練の大きな改善につながるでしょう(30)。今日の紛争は概ね非国家間のものであるため、非国家の武装集団との関わりはいっそう重要性を増すことが予想されます。ICRCはこれまでも長らく紛争の全ての当事者との対話を行っており、非国家武装集団への働きかけにおける経験を蓄積してきました。この専門知識を活用することは、武力紛争の被害者へアクセスし続ける際に必要不可欠となります。The Reviewの特別号この号の出版は、Review誌の原型である1863年創刊の赤十字国際紀要を思い出す機会となりました(31)。何十年もの間、Review誌はICRCおよび各国の赤十字社の課題を反映し、その活動に関する情報を発信し続けてきました。そのアーカイブは国際赤十字・赤新月運動、そして広義の人道支援活動の発展を証言するものとなっています。これまでの出版物は全てデジタル化されており、ケンブリッジ大学出版局からオンライン上で入手することも可能です(32)。Review誌ははじめに、ICRC総裁のぺーター・マウラーに対して、組織の将来への展望に関するインタビューを行いました。そして、現代のICRCの活動について、あらゆる地域の様々なバックグラウンドを持つ10人に意見を求めました。彼らはICRCおよび現代の人道支援活動における課題について、率直で建設的な評価を提示します。150周年は、ICRCの歴史を振り返るだけではなく、世界が対応しなければならない現代の人道的課題について考える機会を提供します。人道支援組織は、被害者への安全なアクセスを得て、紛争に関する法を順守させるための、終わりのない戦いに参加しています。19世紀の戦場と同様、21世紀の紛争とその他暴力の文脈では、敵の管理下に置かれる人々をいかに保護するかが重要となります。進歩と野蛮性の緊張関係は存続するのです。従来そうであったように、紛争と暴力による人的損失は容認できるものではありません。ICRCは人道のために尽力し続けます。しかし、アクセスの不足や危険な状況が原因となり、支援を必要とする人々が手の届かない場所に存在し続けているのも事実です。人道支援活動の枠を超えて、民間人を救い、国際人道法を尊重することが何よりも重要なのです。アニバーサリーの意義は何でしょうか?「私にとって、ICRCは私がその存在を知った日に誕生しました」と、サミ・エルハジ氏はこの号に寄稿しています。これは、彼が収監されていたグアンタナモの監房をICRC職員が訪れたときのことを示しています。この150年間、ICRCが収容所の中の人々を訪れ、愛する者との再会を実現し、必要な食料、水、医療、そして家族に関するニュースを届けた際に、彼らの中でICRCが誕生しているのです。今日、ICRCの核となっている使命は150年前と変わりません。法を尊重し、命を救い、人間の尊厳を回復するため、ICRCは活動を続けます。人道研究ジャーナルVol. 4, 201519