ブックタイトルThe Journal of Humanitarian Studies
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The Journal of Humanitarian Studies
Journal of Humanitarian Studies Vol. 4, 2015RAID CROSS(レイド・クロス)緒言なぜレイド・クロスなのかレイド・クロスとは、様々なチェックポイント3でのロールプレイを楽しみながら、武力紛争時における人道上の問題について理解を深めるゲーム形式の教材です。したがってこの教材では、「世界の一員」としての精神を養い、人権に関する知識を与え、身近な生活の中でも守るべきルールがあることを強調しています。ジュネーブ条約締約国は、国際人道法をできるだけ広く普及する義務があります。国際人道法とは、紛争犠牲者の苦しみを和らげ、民間人への被害を最小限にする、戦時下においても人道的な行為を守るための一連の条約の総称です。国際人道法は、基礎教育の中核を形成するために必要不可欠な知識と技術の一部であるといえます。レイド・クロスとはこの教材では、国際人道法を扱います。人間の行動についてより深く理解する手段として、武力紛争時だけではなく、日常生活の中で経験する全てのことにおいて、人間の命や尊厳を守ることに焦点を当てています。国際人道法を尊重することは、武力紛争による暴力的行為や、破壊行為、犠牲者の被害の拡大を抑制する手助けとなります。さらには、不必要な苦しみを軽減し、人間の尊厳を守るという紛争解決の平和的手段に立ち返る一助ともなるのです。思春期の子どもたちは、暴力について見聞きする機会が多くなっています。政治や歴史(メディア、教育、文献)を学んだり、あるいは娯楽(テレビゲームや映画)においてもこうした暴力行為に触れます。レイド・クロスの目的は、こうした青少年に武力紛争と人道的行動の現実に気づいてもらい、武力紛争に関する出来事やニュース、また一般的な暴力について理解をする機会を提供することです。レイド・クロスは、特定の紛争の政治的見解や思想に基づくものではありません。ロールプレイを取り入れる理由国際人道法を普及することは、赤十字のもっとも重要な使命の一つです。その方法は普及対象に応じて改良され、発展してきました。年少者への普及分野では、ベルギーとフランスの赤十字が「LIMITO」「RAID CROSS」といった教材を取り上げ、グループ学習や参加型学習の重要性を訴えました。これらに取り組む中での体験は、新たな学びのゆるぎない基礎となるでしょう。人道的行動や国際人道法は「手本」にしたがって学び実演することで、青少年にとってより身近なものになる「規則」です。この研修の中で、参加者は、捕虜、民間人、兵士や人道支援スタッフの役を演じることによって、それぞれの違った観点から、武力紛争時に生活する上で困難なことは何か、またこのような極限状態を治めるためのルールは何かを見出すことができるのです。3訳者注:原文では”post”とされている。本訳では、参加者が課題に取り組み、クリアしながら先に進むことから、検問所、関所の意味を持つチェックポイントとした。210人道研究ジャーナルVol. 4, 2015