ブックタイトルThe Journal of Humanitarian Studies
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The Journal of Humanitarian Studies
Journal of Humanitarian Studies Vol. 4, 2015編集後記4年間にわたる日本赤十字国際人道研究センター長としての私の任期も3月末限りとなりました。私が編集責任者を務める最後のジャーナルをお届けします。この間、ご寄稿いただいた方々はもちろんのこと、ジャーナルの発展のために種々ご助言をいただいた方々、編集・校正作業に携わったスタッフ、事務手続きをお願いした学園本部の皆様に心から御礼申し上げます。何事も軌道に乗るまでは思わぬこと続出で関係者お互いにストレスの多い日々が続きました。すべて解決とまではいきませんが、何とか後任の方に襷をお渡しできそうです。今号は、前号に引き続き、赤十字とジュネーブ条約150周年関連記事を掲載したほか、日本赤十字看護教育125周年の節目に当たり、赤十字関連の5つの看護大学(創立年順にスイス、スウェーデン、日本、タイ、韓国)の沿革・現在・将来についてご寄稿をいただき、特集を組みました。このように5つの大学について検討してみると、今後の世界の赤十字看護教育の発展に多くの示唆が得られるものと思います。今年は、戦後70年、広島・長崎原爆投下70年に当たりますし、赤十字原則50年でもあります。4年後には国際赤十字・赤新月社連盟の100年を迎えます。人道活動の歴史を紐解き、人道研究の現在を伝え、アドボカシー発信に努め、格調高く、しかしあまりにもアカデミック過ぎず、赤十字関係者だけでなく、人道の現場で実際の活動をされておられる国内外の実践家、人道研究者の方々、現役をリタイアしながら人道への思いを持ち続けておられるOB/OGの方々、こういう方々へ発言の機会を提供する場として、このジャーナルを発行することを考えてきました。どれだけこの初心を果たせたか、今後の評価に待ちたいと思います。4月から新しいセンター長のもとに、人道センター、人道研究ジャーナルのますますの発展を祈念します。私も一ボランティアとして、ここ数年にわたりICRCの文書庫、アメリカ国立公文書館で収集してきた一次史料の整理、まだ発掘しきれていない史料、特にICRCは1980年代までの文書が公開されつつありますので、それらを踏まえた研究発表をしていきたいと思っております。国内史料・書籍に偏った人道の歴史研究では残念ながら「井の中の研究」でしかありません。海外の史料を活用しない研究では片手落ちです。この方面での発掘に、一ボランティアとして今後とも努めていきたいと思っております。日本の人道活動の発展のためには、少なくとも明治維新以来のわが国の人道活動を世界的な視野から評価していく必要があると思料するからです。昨今の政治環境一つをとっても、わが国はあまりにも歴史の重みをないがしろにしてきているからだと言えば、言い過ぎでしょうか。歴史から学ぼうとせず、時には自分たちが後世に評価される歴史を作っている、ということも忘れて、その日暮らしをしているのではないかとすら思わざるを得ません。この際、近視眼的で、ものの上澄みだけを見て来ていないか、大いに考えてみようではありませんか。アメリカ赤十字関係や、GHQ/SCAPあるいは在東京のアメリカ大使館から発出された史料は、ワシントンDC郊外の国立公文書館Ⅱ(NARA College Park)に保管されていますが、ワシントンDCダウンタウンにある国立公文書館Ⅰにはアメリカ合衆国憲法、権利章典、独立宣言が展示されています。アメリカ合衆国のいわば「3種の神器」なのだと思います。280人道研究ジャーナルVol. 4, 2015