ブックタイトルThe Journal of Humanitarian Studies
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The Journal of Humanitarian Studies
Journal of Humanitarian Studies Vol. 4, 2015看護学学位(博士号)の最初のカリキュラム(看護を科学としてとらえた看護教育)は、80年前にアメリカ合衆国で策定された。しかしながら、フランス語圏の国が看護の大学教育を提供するようになるまで、かなり長い期間を要した。フランス語圏で最初に看護の大学カリキュラムが完成したのは、カナダのモントリオールであった。ヨーロッパのフランス語圏の国々では現在でも、混合的な教育を行っている。例えば、フランスでは、大学レベルのプログラムへ少し近づいた感じであるが、プログラムの完成にはほど遠い状況である。ベルギーは、もっと遅れており、スイスの看護教育は格段に進んでいると言えるが、ドイツ語圏とフランス語圏では大きな違いがある。(スイスには合計4つの言語を話す地域3がある。)2002年、スイスのフランス語圏地方では、看護師は大学レベルの教育を受けるべきである、と決定した。看護科学領域において学士、修士、博士コースが設定された。(フランス語圏の国の看護教育において学位を取得できる2番目の国となった。)スイスのドイツ語圏では、このように変更することに明らかに抵抗があり、大多数の看護師の教育をより低いレベルで継続することを選び、管理職のみ大学での教育が要求されることとなった。この対応の大きな違いがスイスを実験場にしているのは明らかだろう。すなわち、教育システムの違いにより現場の看護ケアに相違が生ずるのである。過去12年間以上にわたって、ドイツ語圏地方では、看護師の不足が悪化の一途をたどっている。一方、フランス語圏地方では、大学モデルで教育が進み、学士を取得した学生数はめざましく200%増となっている。この教育システムの成功は、学士だけでなく、修士、博士レベルでも同様である。完全な大学カリキュラムの必要性21世紀の始まりと共に、ヘルスケア・システムは、急速に改編されている。数々の重要事項に対処しなければ将来への影響が避けられないからである。とくに重要な課題に限定すると下記の点があげられる。?先進工業国における急速な高齢化?疫学の変化および慢性疾患、認知症に対応できる人材の必要性?家庭医療専門医(GP)の数が少なく、高齢化していること?看護師の不足?ヘルスケア・コストの増大を防ぐ必要性?病院をベースにしたケアから在宅ケアへの切り替え?今まで以上に医療安全に費用をかけ、医療事故防止に努めるようにという社会的圧力専門的な実践はエビデンスに基づき、その領域の専門家のコンセンサスによるケースが増えている。高齢人口に関するスイスの最近の動向からすると、2050年までにケアを必要とする高齢者の数が倍増する。平均寿命も男性が76歳から84歳に、女性は、82歳から89歳に延びると予測されている。ヘルスケア・システムのあり方を見直す必要があり、関連してヘルスケアに携わるスタッフを増やす必要があるが、人口予測では、若者の数は有意に減少していく傾向にある。社会福祉およびヘルスケア・システムの崩壊を避けるには、直面する課題に今すぐ取り組まねばならない。スイ3編集者注スイスの公用語はドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つである。44人道研究ジャーナルVol. 4, 2015