ブックタイトルThe Journal of Humanitarian Studies
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The Journal of Humanitarian Studies
Journal of Humanitarian Studies Vol. 4, 2015スでは、研修の質を上げなければならないことと、新しい介護者として移民を受け入れ、さらに家族やボランティアを介護者として動員するということとのデリケートなバランスを保ちながら、この新しいシステムづくりが動きだしている。このような点を考慮しつつ,スイスでは、資格を持つケアの専門職としてコミュニティ・ヘルス・アシスタント(ASSC, Assistant en Soins et Sante Communautaire)の研修が、看護の研修と併せて行われている。資格を持つコミュニティ・ヘルス・アシスタント(3年間の実施後に資格が取れる)と正看護師(3年で学士を取得)により、介護に明るい未来が持たらされようとしている。コミュニティ・ヘルス・アシスタントは、基本的に日常生活の支援を行い、看護師の監督の下で技術的な支援をする。さらに、コミュニティ・ヘルス・アシスタントと看護の学士カリキュラムとの縦断的な連携が見られ、多くの若者がキャリア・アップする魅力的な機会となっている。その結果、ラ・ソースの学士コースの学生数は、過去8年間で驚異的に増え、2006年に280人であったのが2014年には730人となり、伸び率は260%に達している。この数字が意味することは、学士の称号が得られる可能性が増えたことにより、看護学を学ぶ学生が増え、修士課程、博士課程へと進むことを後押ししているということである。大学教育をあまり評価していないドイツ語圏地方で看護学生の数が低迷している状況によって、この説はいっそう良く理解できることである。将来の看護のニードについて、カナダ看護協会が最近の動向として発表している「看護師の75%が病院で働き、25%が地域で働いている現状は、やがては逆転し、患者の家が基本的にケアの場所になる。」という見解にラ・ソースは、同調している。もちろん疫学の変化は将来のニードを決定づけるであろう。平均寿命が延び、労働力となる若者が減少するという人口動態の変化はケア・ニードおよびケアを提供する社会資源のレベルと種類に影響する主たる要因となる。向こう25年間、慢性疾患を持つ患者のケアは、以前には決して見られなかったレベルまで到達するだろう。とくに認知症がさまざまな形で急速に増えていることから看護師を増やす必要がある。一般的にスイスの高齢者は現在、質の高い生活をしている。しかし、後期高齢患者の家は集中的な在宅ケアをするために大規模な改築が始まろうとしている。医師不足は将来、ヘスルケアの分野で最前線の活動に影響を与えるもう1つの要因である。スイスの家庭医療専門医(GP)の平均年齢は、58歳である。医学生のほとんどがこの分野の医療を選ばず、より給料の高い専門医の道に進む。家庭医療専門医(GP)の不足は、政治的な問題となり、ヘルスプロフェショナルの間で順番に役務に着くことになった。このことにより登録の枠組みが変更となり、まもなくスイスの看護師は、「ナース・プラクティショナー」としてのスキルを磨くことが要求されるだろう(北アメリカと同様である)。とくに、家庭医療専門医(GP)が少ない地域で必要人道研究ジャーナルVol. 4, 201545