ブックタイトルThe Journal of Humanitarian Studies
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The Journal of Humanitarian Studies
Journal of Humanitarian Studies Vol. 4, 2015性が高まっている。しかし、家庭医療専門医(GP)の不足だけではない。現在スイスで輩出されている看護師の数からみても将来想定されるヘルスケア分野の課題に充分対応できない。国内の看護師の充足率は、平均50%である。スイスの中でもフランス語圏の充足率は高く80%に達している。この直接の原因は、看護コースを下級レベルに設定し、専門職が持つべき真のスキルに対して混乱を招くような政策と取ったか、大学レベルの教育へ設定してきたかの違いが結果に表れているのである。スイスは今後、外国人看護師の割合を減少させていくように努力しなくてはならない。他国のヘルスケア・システムの中で育成された専門職を雇うような非倫理的なことは止めていくべきである。このことと平行して、最近、ケアの質と安全の問題が大きく取り上げられている。ヘルスケア提供者は、人材の配置と費用との関係により、重大な医療事故を起こす寸前のインシデントや起こってしまった医療事故を大幅に減らすためにできることはすべて行う必要がある。国際的なコンセンサスでは、このようなインシデントのコストは、ヘルスケア予算の10%を占め、巨額の費用を支払うことになる。アメリカ合衆国におけるエイケンによる研究に代表される数々の研究は、術後の死亡数、治療法のミスの数は、在院日数および再入院数と有意に連動していることを示している。ケアの質と安全はケア提供者の教育レベルにリンクしているのである。学士、修士、博士課程の3つのレベルで看護教育を実施することが必要だということのもう一つの論拠となるのである。多くの要因がケアの質を決定づける。看護の成果を分析してみると、とくに看護の実践が繊細な結果となって現れるインジケーターに強く影響することがわかる。研究の結果や専門家のコンセンサスに基づいたスタンダードな看護を実践することが看護の改善、継続的な看護、ケアをバックアップすることにつながる。エビデンスに基づく看護(EBN)が看護教育の開始時から紹介され、スイスのフランス語圏のヘルスケアの専門職は、科学的なデータベース(例、Medline andCINHAL)をどのように活用するかを教えられている、また文献レビューについても同様である。それにも関わらず、臨床現場への科学的な知識の適用は、とても複雑になっている。このスキルは、看護学の修士課程において徹底的に学ぶことになる。このレベルの専門的な臨床教育は専門職として重要な部分である。将来の挑戦のための高度実践21世紀のヘルスケアの挑戦的な課題に対応するためには、より多くの“高度実践看護師”と呼ばれる様々な領域で優れたスキルを持つ看護師が増える必要がある。このようなスキルを持つ看護師は、通常次の2つのいずれかの分類に分けられる。臨床専門看護師は、複雑な状態に直面したケアチームに助言できるよう教育を受けており、研究で得た知識を臨床面で効果的に活用することができる。彼らは実践的なガイドラインとケアの質を改善する普遍的なプロセスを融合させることができる。例えば、臨床専門看護師が、特殊な患者のケアをするチームのメンバーになることを求められ、糖尿病、心疾患あるいは神経変性障害46人道研究ジャーナルVol. 4, 2015