ブックタイトルThe Journal of Humanitarian Studies
- ページ
- 5/286
このページは The Journal of Humanitarian Studies の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは The Journal of Humanitarian Studies の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
The Journal of Humanitarian Studies
Journal of Humanitarian Studies Vol. 4, 2015ICRCのアイデンティティーの発展について、どのように考えていますか?まず、就任してから数カ月で感じたのは、私たちのアイデンティティーが「赤十字ならではのやり方」に基づいているということです。例えば、被害者に寄り添う、政治的アジェンダでなくニーズに対応して活動する、それぞれの状況に合わせた人道支援を行う、支援・保護・予防活動を組み合わせる、といったようなことが挙げられます。武力紛争下では紛争当事者の決定が直接、一般市民への武力攻撃や強制移動といった形で現れます。このような状況では、支援・保護・予防の活動は全て相互につながっているのです。戦闘員がこのような人々に対してどのような役割を負い、どのような行動をとっているのか明確にしなければ、被害者に支援や保護を届けることはできません。しかし、最近の傾向として、紛争当事者は救援物資の供給活動に対して比較的寛容ですが、自分たちが一般市民に対してどのような行動をとっているのか監視・調査されることを拒みます。支援活動はしばしば大規模なロジスティックスおよび運用能力が必要となりますが、危機的状況にさらされた人々のところへ妨害なくアクセスするためには、保護活動も不可欠です。異なる概念を適切な形で結び付けることは私たちにとって大きな挑戦であり、同時にチャンスでもあると考えています。また、ICRCの活動の中核は何なのかを検討することも重要です。ここ数年、ICRCは武力紛争以外の暴力が伴う状況下での活動を強化しています。言い換えると、国際人道法が適用されるとまではいかないけれども、「暴力」として位置づけられ、国内法と人権法で規制される状況での活動、とも言えるでしょう。武力紛争以外の不安定な状況下での活動が増えていることは私たち自身も認識しており、私自身もそれが相応しい方向性であると考えています。しかし同時に、武力紛争が減っているという解釈は危険であると思います。事実、過去に数多く見られたような国家間の紛争は確実に減少しています。一方で、私たちの現在の活動状況を分析すると、世界は武装集団同士の紛争の長期化や増加を特徴とした、新しい紛争の時代へと向かいつつあることがわかります。例えば、国家対武装集団という形の紛争のように、私たちが数年前に時代遅れと考えていたパターンも見受けられます。これまで述べてきたように、私はICRCが原点に立ち返り、任務の中核を成す活動に注力することこそ重要だと考えています。それは、武力紛争とその他の暴力の状況下で一般市民を保護することです。重要な活動分野は医療や水、衛生であり、脆弱な地域では食料や栄養に関する活動も必要です。そしてこれらICRCの中核を成す活動を超えて、私たちは世界中にある課題がさらに複雑で、相互につながっており、分野の境界があいまいであることも熟知しています。そのため、これまで通り柔軟な適応力をもって、助けを最も必要としている人たちのところへすぐに向かうことができるようにしなければなりません。私がICRCで指揮を執り始めてから初めの数カ月間、ICRC中央アフリカ共和国、2014年は目標に的確に、また活動も任務の中核に沿って進んカガ・バンドロ病院で、患者と対話する。cRadih Mazboudi/ICRCでいる、という印象を持ちました。人道研究ジャーナルVol. 4, 20153