ブックタイトルThe Journal of Humanitarian Studies
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The Journal of Humanitarian Studies
Journal of Humanitarian Studies Vol. 4, 2015ICRCと他の人道支援組織との関係をどのように見ていますか?人道支援コミュニティのスタッフや団体は、ここ数十年で大きく変化してきました。人道支援に関わる、もしくは関わろうとする団体の数は増えています。ICRCは、可能ならばそれらの人道支援組織との協力関係を通して、関係性をもっと明確化するよう努めなくてはならないし、それぞれの状況ごとに、私たちの独自性をはっきりと示さなければいけないと思います。ここ数年間ICRCは、「戦略2011-2014」3を見てもわかるように、他の人道支援組織との協力関係を明確化しなくてはならないことを理解しています。個人的には、ICRCはその目標と任務を成功させるためにも、国際赤十字・赤新月運動内外の他団体との協力関係を増やしていく必要があると考えています。適切なパートナーを見つけて共に活動することで、被害者に寄り添い活動する、という私たちの目標の達成にも大いに近づくことができるでしょう。ICRCは、助けを必要としている人々への支援・保護活動を行うにあたって、自分たちが明確に付加価値を与えることができる分野に、より集中的に取り組むべきだと考えます。それは特に、被害を最も深刻に受ける人々へアクセスすることです。人道支援組織の数が増加する中で、援助を最も必要とする人へ優先的に、適切な時期に適切な場所で支援が届けられるようにするには、援助を調整することが不可欠です。そのための新しい課題は、他組織がどのような活動をしているのか、どの分野での協力が可能で必要か、活動がお互い重複していないか等を理解するために、積極的にコミュニケーションをとらないといけないということでしょう。被害者の利益のためにも、支援が十分に活用されているか懸念しているドナーへの説明のためにも、必要とされる支援物資を他組織と共に活用する最善策を考える必要があります。また、協力関係の広がりは、それぞれの状況、または活動分野によって異なってくるでしょう。これは、私がシリアを訪問した際に気付いたことです。二つの例を挙げます。一つ目は、支援用の食料を貯蓄する倉庫を視察した時のことですが、シリア住民へ配布される食料が、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連世界食糧計画(WFP)、ICRC、カタール赤新月社とそれぞれ分けられて保管されていました。このような場合、ICRCが他組織と正確なニーズについて意見をまとめ、支援物資を分配する方法に合意するために、協力関係を強化することは有益ではないでしょうか。もう一つは、私が同日、シリア当局と被拘束者の訪問について話し合いを行った時のことです。彼らの懸念事項の一つは、ICRCが第三者に報告書を公開するのではないかということでした。ICRCの要求、例えば被拘束者との個別面談や、被拘束者全員のリストの提供、同じ施設への複数回の訪問などを当局に許可してもらうためには、私たちが当局への報告書と勧告の機密事項を厳重に守ることを説くことが不可欠でした。食料の例と異なり、これは当局との間で直接的なやりとりが必要なケースです。この二つの事例は、実にICRCと他組織の協力の必要性および限界を示しているように思います。協力関係は、現場レベルだけで起こるものではないと考えます。うまく協調していくためには、何を、どの程度まで協働するつもりなのか、自分たちで把握しておかなければなりません。この点において、私には戦略的なレベルでの役割があります。私たちの重要なパートナー団体と協議を重ね、国境なき医師団(MSF)、オックスファム、セーブザチルドレンなどの大規模なNGOと定期的につながりを持ち、国連の重要な人道支援機関、例えばUNHCR、国連人権高等弁務官事務3編集者注:ICRC Strategy 2011-2014、Achieving Significant Results for People in Needをご覧ください。4人道研究ジャーナルVol. 4, 2015