ブックタイトルThe Journal of Humanitarian Studies

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概要

The Journal of Humanitarian Studies

Journal of Humanitarian Studies Vol. 4, 2015所(OHCHR)、世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)、そして言うまでもなく、国連人道問題調整事務所(OCHA)と協力していくことが重要となります。現代のICRCは、他団体とどのように異なっているのでしょうか?ICRCの特異性は、その中核の任務にあります。私は初めての現場に赴いたとき、ICRCの活動はきちんと現地で認識されており、この組織の主要な職務とアイデンティティーはつながっているのか、疑問を抱いていました。私たちが現在行っている活動は、実際に合理的であり、任務と一致しているのでしょうか。この問に答えるために、私が戦略的に重要だと考えるICRCの活動分野を挙げましょう。まず、ICRCが将来、明確な展望を持たず、進歩的な医学知識がなく、危機において医療サービスを提供できない、という状況は想像することができません。同様に、ICRCが被拘束者の保護に関する問題に力を発揮できなくなることも考えられません。なぜなら、病院や刑務所はICRCが必ず姿を現さなくてはならない場所だからです。なお、私たちの活動の中核は何か、そして何を乗り越えなくてはならないのか、まだまだ話し合う必要があります。「人道」という言葉が過剰に使われている今日では、私たちの「人道」支援が、明確な任務とICRCの独自性を有していることを再認識することが大切です。なお、私たちの活動は全て武力紛争とその他の暴力に関連するものでなくてはならず、そのことを明確にしておかなくてはなりません。常に紛争地での傷病人の救援活動を行い、被拘束者を訪問し、当局の待遇を監視し、また紛争下でも住民が最低限の生活を営み、適切な医療を受けられるよう努力することが不可欠です。支援を必要とする人々に必要な緊急援助物資を届けることが私たちの活動の中核であることは変わりません。これこそが私たちの存在意義であると私は思います。最近、カブールにあるICRCの整形外科センターを訪問しました。私たちの活動は市民の役に立つだけではなく、必要としている全ての人々のもとへ行き、保護をするというICRCの基本原則にも忠実であることが明確にみてとれました。また、そこで治療を受けるのは紛争被害者でしたが、治療を必要としているのは彼らだけではありませんでした。紛争被害者だけでなく、コミュニティで整形外科治療を必要とする人をもっと幅広く受け入れるセンターがあればよいと感じました。とはいえ、紛争被害者を保護するという私たちの中核の任務にもとづいて活動を続けることは大切です。今のところ、私たちの任務を様々な分野に拡大させることは得策ではないと私は考えています。もし私たちが常にICRCの役割を第一に考えず、全力を傾けなくなったら、本末転倒になってしまいます。他の機関が秀でている活動についてはお任せし、私たちがすべきことに全力を尽くすことが必要だと考えます。現在のICRCが直面する課題は何ですか?ICRCの大きな課題は、自らの活動と他の機関との協働から、中立・独立・公平な人道活動とは何か確認し、定義することでしょう。しかし残念なことに、現代の人道危機は、人道主義と関係のない政治目的の達成のために利用されることがあります。この状況で、関係者、受益者、人道機関、そしてドナーに対して、私たちの中立・独立・公平な人道活動が何を意味するのかを明確人道研究ジャーナルVol. 4, 20155