ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」にかかる教育・研究事業報告書

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概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」にかかる教育・研究事業報告書

える。インタビュー項目は、助産師がこれまで経験した中から自らのキャリアについて語ることができるような内容とし、半構成的に設定することで、助産師がインタビュー中に自由に意見を述べ、討論することができるようにした。グループ・インタビュー進行に関しては、できるだけ助産師の自由な発言を促し、効果的なグループダイナミクスにより、顕在的および潜在的なキャリア開発意識を把握できたと考える。(2)助産師のキャリア開発キャリアは、E.H.シャイン6)によると、人の一生を通じての仕事といった意味で、仕事を広く解釈すれば、ほとんど誰もが人生においてキャリアをもつことになる。フォーカス・グループ・インタビューを行ったことにより、お互いのキャリアを聴きながら対話することにより、今後の自分のキャリア開発について考える体験をしたのではないかと考える。職種についたばかりの経験3年未満の助産師は業務に慣れることに精一杯であると余裕のなさを語り、業務に慣れた経験5年目以上の助産師は、自分の成長が実感できない、ステップアップの方法がわからないと述べ、過去の意欲や関心が薄れモチベーションが低下していることを自覚していた。過去の自分を語ったことは、経験年数の違う助産師に思いを共有してもらえる機会になっていた。グループ・インタビューに参加する事で自らのキャリアをフィードバックし、自己の内面を洞察することに繋がったと考える。今回、18名の助産師が混合病棟勤務で、助産師業務と看護師業務の負担というストレス、助産師としての専門性を発揮できていないという思い、医師との協働がうまくいかないというジレンマを感じているものが多く、キャリアに対する今の思いに肯定的な感情を表現7した者は少なかった。石渡)らは、看護婦は入職4~5年目が仕事へのやりがいを感じ、看護婦としてのアイデンティティを確立すると述べている。21名の助産師全員が1年間の教育を受け、単科で勤務しているものは臨床経験の少ない3年と4年の2名の他、1名は10年近く総合病院の混合病棟で勤務した後に職場を変えて単科で働いていた。今回、経験3年目を過ぎたばかりの助産師が現状に対する複雑な思いを語っていたことから、助産師は助産学教育をうけて就職した時には、すでに職業的アイデンティティを持って就職していると思われ、経験を積んだ後に、職業的アイデンティティがゆらいでいくか、薄れていると思8われた。小野)は職業的アイデンティティには教育的関わりが重要であるとしており、専門性やキャリア開発につなげるには教育的かかわりが1時期では事足りないと指摘している。E.H.シャイン9)は、キャリアは積み重ねていくことではっきりとした自己概念をはぐくんでいくと述べていて、この自己概念は、多種多様な諸経験をし、そのつど意味のあるフィードバックを受けていればずっと早く発達していくとしている。今後、それぞれがキャリア開発をしていくには、キャリアを積み上げることとフィードバックの機会を重ねていくことが必要である。今回参加した全員がキャリア開発に関する教育を受けた経験はなかった。今- 17 -