ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」にかかる教育・研究事業報告書

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概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」にかかる教育・研究事業報告書

後、仕事に対しモチベーションの低下を感じる助産師に経験年数毎に教育的関わりが必要と思われた。キャリアを積むためには仕事を辞めない、病院勤務以外の活動の場を求めるなど自分のキャリア目標をもって学習したい、研修を受けたいと積極的な発言が多く、将来に対する意欲の高さを表していた。その根底にあるのが、各々が持っている理想の助産師像であり、職業に対する誇りであった。職業に対する誇りを支えているものは助産師として働くことの意味や価値を再確認できる助産業務であり妊産婦との関わり、先輩の存在であった。10佐藤・菱谷)は、役割モデルになる助産師の存在は、助産師の職業的アイデンティティの下位尺度である「自己の助産師観」、「助産師選択への自信」、「助産師の専門性への自負」、「助産師としての社会貢献への志向」に関連を示し、助産師の将来像に近づこうとする願望や意欲が助産師の職業的アイデンティティを高めることにつながると述べている。本研究でも、助産師として将来を考え、キャリアを積み、開発していこうと考えている助産師は職業的アイデンティティを維持、高めるために自分が何をしたいのか、どうなりたいのかを考えながら将来の展望を長期的に考えて行く決意を見せていた。11病院で勤務する助産師は組織・管理者の支援を求めていた。日本看護協会)は看護師のキャリア開発について、組織の中でキャリアを発達させようとする場合は、その組織の目標をふまえたキャリアデザインとなり、組織はその取組を支援するものであることが望ましいとしており、キャリア開発は看護師個々人と病院看護部門の組織間の相互作用で取り組むものであるとしている。グループ・インタビューでは、病棟管理者から病院組織とスタッフの間に立ち助産師の提案をすすめていく手助けをしたいと述べられ、助産師から個人の12キャリア開発意識を認め、向学心を刺激する環境作りを望んでいた。平井)は、看護職員が自律的に自己啓発に取り組み、それを組織がサポートしていくシステムが必要で看護職員と組織が共に進化することが必要と述べている。組織の中で助産師がキャリア開発をしていくには助産師としての専門性を大事にしてくれる管理者であることを望み、そのことが全体を発展させる事につながると考える。今回、フォーカス・グループ・インタビューを通して、参加者同士が意見を交わすことにより、キャリア開発に対する新たな気づき、助産師同士の価値観の共有、考え方の変化などがあったことが、インタビュー後とフォローアップ調査の自由記述で述べられていた。フォーカス・グループ・インタビューへの参加そのものが、助産師のキャリア開発意識に影響を及ぼす可能性が示唆された。5)謝辞本研究にご理解とご協力をいただきました助産師の皆様に深くお礼を申し上げます。なお、本研究は平成25年度学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金の助成を受けて実施した。6)引用文献1)宮中文子,恵美須文枝・他:助産婦業務の自立にむけての経年別教育の達成目標(前編).- 18 -