ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」にかかる教育・研究事業報告書

ページ
31/74

このページは 平成25年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」にかかる教育・研究事業報告書 の電子ブックに掲載されている31ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」にかかる教育・研究事業報告書

り、農村部ではさらに低い値であることを想定すると(詳細なデータは公表されていない)、高校進学者とそれ以外の者では、同世代であっても性行動や性意識に関しても異なった状況であることが考えられる。しかし、婚前性交に対する一般の意識は寛容・容認化しおり、もはや高校生は性行動を開始する者が増加する年齢層となりつつある。それにともない、学校や保護者、地域や保健行政は性教育に注意を払う必要性が増してはいるが、第一次調査では多くの者に正しい知識を持たせるまでには至っていない状況であることが示された。それに対し、本研究で行った具体的な保健介入によって性知識は向上させることができたが、「自分は性に関する知識をもっている」と考える者が必ずしも正しい知識を持ってはいない結果であった。知識や認識の習得や変容にはある程度時間をかけ反復することが必要である。正しい知識と望ましい認識を併せ持つことが、若者が将来にわたって健康を維持するに欠かせないものであることから、今後も継続した介入を行っていくことが望まれ、現地教育関係者への指導・協力が必要であると考えられた。本研究の限界本研究にはいくつかの限界が存在する。ベトナムにおける典型的なデータを収集することを目的に首都ハノイを調査地としたが、ベトナムはその長い歴史の中で、国内においても地域間で政治的情勢に差のある時代が長く、文化的にも他国の影響を受ける機会が多かった背景をもつ。その国土は南北に細長く、国内間での一般市民の移動はそれほど頻繁ではないなかで、隣接する国の影響を受けやすいという特徴がある。ベトナム北部と南部で既婚男女を対象に婚前交渉の状況を調査し、南北での差異の存在を指摘している報告があることからも、高校生においても北部のハノイと中部や南部では異なった状況が考えられる。さらに、ハイズオン省(北部のハノイと観光地ハロン湾と外港ハイフォンの間にある省)で既婚男女を対象に婚外および夫婦間の性行動の状況の調査では、市街地域居住か否かで差異があることを報告していることから、首都ハノイと農村部でも異なった状況が考えられる。そのため、今後は南部や中部において、また農村部においての調査も行い、地域間の違いについても検討していく必要がある。5)謝辞本研究を行なうにあたり、ご協力くださったベトナム社会主義共和国Ministry of HealthCenter for Population Information and Documentation (CPID) General Office forPopulation and Family Planning (GOPFP)および高校生の皆様、高校教職員、父母の皆様に、感謝致します。- 29 -