ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」にかかる教育・研究事業報告書

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概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」にかかる教育・研究事業報告書

推進している。将来、勤労観、職業観を育み自立できる能力をつけることを目的とする意味合いが深く、学校教育での進路指導との違いを示している。これらの背景は既に助産師職を選択した者にそのまま応用はできないが、自己の個性を発揮しながら働くことの意義や専門職としての役割を理解し、自己の生き方の選択や将来の設計をする力を育成することと共通する。また、平成15年度の「新人看護職員の臨床実践能力の向上に関する検討会報告書」で卒後1年間に新卒助産師が習得すべき実践能力の到達目標および指導指針が示された。研修計画及び研修内容については、定期的評価、改善の必要性があり、生涯教育の一環であり新人看護職員研修修了後の研修計画についても明示する必要性があるとしている。平成16年度の「新人助産師研修の充実に向けた研修体制の検討に関する報告書」では助産師に特化した継続教育に関する理念を持っている病院は4.9%で助産師の教育システムが十分に確立できていない実態が明らかにされている。また、平成24年度、日本看護協会「新卒助産師研修ガイド」の基本方針に、助産師は、新卒助産師研修で修得したことを基盤に、生涯に渡って自己研鑽することを目指す。専門職業人として成長するためには、新卒助産師自らが目標を持って主体的に能力開発に取り組む事が重要である。そのためには生涯に渡り継続的に自己研鑽を積むことができる実効性のある運営体制や研修支援体制が整備されていることが重要であると述べている。しかし、助産師は、病院組織では看護職員として包括されており、助産師に特化した継続教育は費用対効果が低いため、職場内での機会は十分ではない。また、診療所のような小規模施設ではスタッフが少人数のため研修を受ける機会を確保することも困難な状況である。宮中ら1)は、助産師の卒後のキャリア育成の問題点として、研修システムが系統立てられていないことや、最終的に個人の専門職としての向上心や自助努力に任されていることを指摘している。新人助産師は、就職した際、職業人として病院の業務にいち早く慣れ、目の前の妊産婦とその家族に適切なケアができることを目指していく。木村ら2)は病院勤務助産師のキャリア開発に関する研究で、助産師の職業的発達における停滞は、キャリア5年以降に起こりライフイベントに伴う進路上の迷い、責任の重さ、業務や仕事に対する自信のなさ、不十分感、業務変革に対する無理解、医師との仕事上の関係や調整に対する悩み、活動の場を変えて新たに見えてくる限界等、落ち込み、不安によるものであると述べている。遠藤ら3)は、経験知の飽和状態がきたときの、次のステップアップの閉塞感がきており、質的転換がつかないのであろうとキャリアが描けないことを指摘している。4筆者)が2010年に調査した結果では、病院に勤務する助産師は目指すキャリアの方向性を「仕事と私生活を両立させた上での特定領域の専門技術を伸ばす」とどの年代でも答えており、管理職を目指す割合は低かった。目標達成状況はどの年代でも低く、目標達成は困難と答えていた。その理由は時間がないが最も多かったが、看護師とは明らかに違う理由として、研修プログラムがない、キャリアのコースがないことをあげていた。助産師が、独占業務としている助産の実践能力、妊産婦への支援という専門技術に価値をおいていることは- 2 -