ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」にかかる教育・研究事業報告書

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概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」にかかる教育・研究事業報告書

水を沸かして飲むようになった。衛生的な食事をとるようになった。皿も綺麗にしている。畑に行く際も、蚊帳の中で寝るようになった。(6)小学校2の教員へのインタビューの結果・昔は、手洗いをしていなかったが、今は、石鹸を常設できたのをきっかけに、毎日、朝、昼、夕で手洗いをさせている。・水道が近くにないので、毎日当番が水を汲んできて洗うようになった。・衛生的になったことで、腹痛を訴える子どもの数が減ったように思い、学童が元気になった。とくに、最近、元気になったようで、健康度が上がったように思う。・寄生虫が減ったって聞くと、自分たちも嬉しく、次は、ゼロ%にしたいと思うので、常に3Clean(清潔な居場所、清潔な食事、清潔な寝床)を心がけ教育している。4)考察(1)駆虫薬の投薬方法の変更による陽性率の変化介入群において、2012年の2回のMDAをWHOが推奨している駆虫薬MBZ500mgの単回投与法から、本邦標準であるMBZ100mgの6回(朝晩2回、連日3日間)の複数回投与法に変更した。その後、2013年には、現地でスタンダードとされているMBZ500mgの単回投与法に戻し、感染率をモニタリングした。検便を行った時期が、いずれも、投薬直後ではなく、次回のMDAの前になってしまい、薬効を評価するには、限界があるため、感染率の動向に焦点を当てて考察する。回虫卵の陽性率が、最も高い確率で出たのは学校5の51.9%であり、2年前のベースライン時とほぼ変化なしであった。同じ介入群である学校6は、0に転じている中、コントロールの2校(78)もそれぞれ20%、26%であり、かなり高率感染であるといえる。回虫に対しては、500mgの単回投与でも、ある程度の駆虫効果が期待できる(山本,2008)ため、薬効の問題は考えられにくく、当該学校の学童の衛生行動や教員の意識の低さによる再感染の可能性が高いのではないかと考える。鉤虫については、学校5で2013年9月の検査では、32.9%まで下がったものの50%と最も高率となっている。鉤虫は、MBZ500mgの単回投与では陰転化が難しく(Soukhathammavong et al,2012;Flohr et al,2007;Albonico et al,2003)、MBZ100mgの6回投与(複数回投与)にて、駆虫効果が期待できる(山本他,2006)。当該校では、2012年に複数回投与を行っているが、同じく複数回投与を行った学校126では、いずれも20%台まで減少している。特に、この学校5は最も駆虫しやすいとされる回虫でさえ、感染率が高いため、鉤虫についても濃厚感染の可能性がある。今回は、虫卵の数を定量的に測定するEPG(Egg per gram)を行っていないため、虫卵の減少率を評価することはできない。今回の調査は、陰性か陽性かでのみしか、判断できないが、今後は、陰転化のみではなく、虫卵の減少率も考慮し、評価していく必要- 40 -