ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」にかかる教育・研究事業報告書

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概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」にかかる教育・研究事業報告書

があると考える。また、単回投与では、駆虫が難しいとされている鉤虫であるが、複数回投与をしなかった学校4では、12.1%にまで減少した。この学校は、他の7校にくらべ、舗装された幹線道路沿いにあり、もっとも、衛生状況がよい村であるといえる。よって、学校と村のロケーション・環境が、再感染の機会を少なくすることに影響したのではないかと考える。その他の3校(378)では、40~60%の感染率で、いずれも、未舗装の農村地域に位置する学校である。今後は、これらの学校における鉤虫対策として、複数回投与を検討する必要がある。鞭虫については、複数回投与を行った4校のうち学校26の2校のみ10%程度にまで減少した。その他は、複数回投与を行った学校140.7%、学校5で53.7%と高率であり、複数回投与後から、一度も感染率が低下していない。鉤虫と同じく鞭虫は、単回投与による陰転化が難しいとされている(Soukhathammavong et al,2012;Namwanje H.et al 2011;山本他,2005,2006)。学校5に関しては、鉤虫と同様、ほぼプレコントロールレベルと変化がないため、恒常的に、感染源に暴露されている可能性が高い。今後は、駆虫方法の見直しを含め、焦点化した対策が必要であるといえる。(2)小学校での手洗いの実施による再感染予防の効果本調査では、寄生虫症の主たる感染経路である経口感染を防ぐため、特に回虫と鞭虫への再感染予防効果を期待し、手洗い介入を行った。介入は2012年より開始し、継続的に行った。回虫については、手洗い介入を行った、学校4校では、学校2がプレコントロールの0から、4.0%に増えたものの、4校とも減少し、10%以下になっている。学校34は、いずれも0まで減少している。学校3はプレコントロールレベルでも、6.4%と陽性率は低かったが、学校4は35.7%からの陰転化である。回虫は、特にMBZの投薬方法を問わず、駆虫しやすい種類であること、また、経口感染であることから、手洗いが、再感染予防に有効であったのではないかと考える。一方、手洗い介入を行わなかった4校では、学校6が、0に転じている。プレコントロールレベルでも、4.7%であったことから、学校での手洗い教育を強化するまでもなく、すでに、子どもたちに手洗いの習慣が身についているなどが考えられる。その背景として、この学校は山間部の農村地域にあるが、学校の道路向かいに看護師が常駐している診療所があり、保健衛生について、常に意識されやすい環境である事が考えられる。学校5は、プレコントロールとほぼ変化がなく、MDA後も再感染を起している可能性が極めて高い。家庭のトイレは、全戸で設置されているとのことであるが、その使用状況や使用方法、学童の衛生行動、教員や村民の衛生観念や意識について詳細に調査を進める必要がある。鉤虫については、手洗い介入の学校では、学校124がプレコントロールレベルよりも大幅に減少している。改善がみられなかった学校3は、唯一、学校、家庭共にト- 41 -