ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」にかかる教育・研究事業報告書

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概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」にかかる教育・研究事業報告書

業務の中でも意識した行動がとれるよう体制整備をしていく必要がある。3)研修以外の虐待予防に関する取り組み虐待や不適切なケアについて、同僚や上司に相談する方が「よくしている」「時々している」で多いことは、早期対応・早期介入につながる一歩であるが、一方で「あまりしていない」「殆どしていない」方も26.8%いるため、その理由を把握する必要がある。虐待に遭遇しても、日常業務の中でそれら行為が不適切と感じなかったり、判断に迷うケースも想定される。さらに虐待に関して施設内の相談体制が不十分であったり、マニュアルが整備されていないために対応に至らない場合も考えられる。普段から虐待や不適切なケアに関して意識した看護又は介護業務が行われなければならない。そのために、施設内での虐待予防の普及啓発活動や定期的なチェック及び虐待事案には、会議やカンファレンスが円滑にされるよう体制と組織作りが欠かせない。家族や地域住民との交流会や意見交換は、半数以上の施設で実施されており、施設内にとどまらず、外部からの監査の目として寄与している。残りの施設においても今後実施されるべき課題といえる。4)虐待予防の研修内容と受講状況高齢者を介護する仕事はストレスフルな仕事と言われるだけに、施設職員にも同様のことが言える。さらに虐待を好発する条件の一つに、問題を経験した人から情報を得たり、問題解決に努力するなどの接近的で行動的なコーピングを取ることが低減し、あきらめるなどの逃避的なコーピングになることが多い(李相済、2003)とされていることから、自身のストレスマネジメントは加害者にならないためにも重要である。本研究の対象者においては、ストレス対処方法やメンタルヘルスの自身に向けた研修は他の研修よりも実施頻度が少なく、また施設内で行う頻度も少ない状況となっている。ストレスマネジメントに関する研修は、職場内での研修体制として、内容的に難しい側面も考えられることから、外部の関係機関を通じて、研修の機会が得られるように連携を図る必要がある。研修内容で療養の環境整備に関する研修は、施設の取り組み状況や職員がもつ関心も低かったが、特に介護に負担が大きい認知症高齢者へのケアは、環境づくりや環境を活かしたケアプランが、療養者の安定をはかり、虐待への低減にも繋がると言われている。それだけに、施設環境づくりを通して、ケアと環境への職員の気づきを高め、入居者の暮らしやケアを変えていくことが求められる(児玉桂子、古賀誉章、沼田恭子、下垣光、2010)。5)虐待予防の研修内容別の理解・関心・重要性について虐待予防に関しての研修内容では、いずれの研修も関心が高く、重要と考えている職員が多かった。ただ理解しているかについては、療養の環境整備に関する研修、ストレス対処方法やメンタルヘルスの研修、管理体制や組織づくりに関する研修、利用者のエンパワメント向上に関する研修で、他の研修より低いために、今後研修内容として検討していく必要がある。また、ストレス対処方法やメンタルヘルス研修は「非常に関心がある」と答えた割- 59 -