ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」にかかる教育・研究事業報告書

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概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」にかかる教育・研究事業報告書

合が48.2%と上位にあった。特に、今後受講したい研修としても最も多かったため、職員のニーズと施設内の取り組みが合うように研修内容の充実を図る必要がある。6)虐待や不適切な行為と意識の実態、虐待予防研修との関係この6か月以内に虐待又は不適切な行為について「よくあった」と答えた方は、いずれもいなかったが、「時々あった」「少しあった」について合計すると、虐待が28.6%、不適切が34.1%あり、日常の中でも虐待に遭遇する機会は多いと考えられる。本研究の対象者においては、性別で男性の方が、虐待行為、不適切と思われる行為を実施した方が多かったが、平成24年度の厚生労働省の調査でも、30歳未満の男性職員で虐待を行う方が増えている(厚生労働省老健局高齢者支援課、2013)と発表しているため、本研究の結果と同様といえる。さらに、厚生労働省は、「コミュニケーションがとれない中で、荒っぽい対応になった可能性がある」との見解より、研修などの適切な対応をするよう自治体に通知している。ここで虐待とは別に不適切な行為として尋ねたのは、虐待に位置付けることのできない曖昧な行為、つまりボーダーラインにある行為を検討・分析することが可能(武田卓也、2010)との考えから、あえて不適切と思われる行為についても調査した。その結果、不適切な行為が、虐待行為よりもやや多くあったことより、グレーゾーンな行為においても決して許されるべきものでなく、高齢者の立場で職員による人権侵害行為を未然に防ぐ手立てを考えなければならないことがうかがえた。虐待と思われる行為があったと答えた方に、過去1年間に虐待予防研修を受けた方が多かったが、その経過が研修以前に虐待行為をしたのか、研修以後に行ったのかは定かではないため、要因を明確にはできない。しかしながら、虐待予防研修を受けた方は、日常業務の中で虐待予防への意識をする方も多かったことより、研修により問題意識を常に持ちつつ、自らの行為に対しても適切・不適切の判断をしながら、ケアを行っているのではないかと考えられる。問題がエスカレートしないためにも、定期的な研修を続け、職員の意識を高めておくことが必要と言える。さらに、ケアの従事者のニーズに応じて、ストレスマネジメントが行えるような虐待予防研修の充実と組織ぐるみの体制づくりをより一層図っていくことが重要である。(5)謝辞本研究は平成25年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」による教育・研究助成「養介護施設職員の高齢者虐待予防に関する意識と現任教育の受講に関する実態調査」(研究者:林真二)により実施した。(6)引用文献厚生労働省老健局高齢者支援課(2012).平成23年度高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果.2013年2月12日、- 60 -